『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ』!

 今回は『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ』(以下『HoFL』)の話。とうとう発売になりましたね! しかも、160ページ近くの付録付き! アップデート適用済みの『PHB』収録クラスのデータとそれと『HoFL』コンバートルールも載っているのですよ。これは、本当にごっついです。桂さんたちほんまに凄いっ!


ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ 堕ちた地の勇者 (ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版)

ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ 堕ちた地の勇者 (ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版)


 まあ、本書はブログで何回か取り上げていますが、簡単な説明をば。D&D4版のサプリメントになりますが、エッセンシャル・ライン、つまり4版のプレイアビリティをより向上させたバージョンのプレイヤーのスタート本になります。『プレイヤーズ・ハンドブック』(以下『PHB』)のエッセンシャル版みたいなもので、プレイヤーはこれ一冊でD&D4版を楽しむことができますよ!


 収録クラスは防衛役のナイト、指揮役のウォープリースト、撃破役のシーフとスレイヤー、制御役のメイジになります。これらは『PHB』収録クラスの別バージョンになります。例えば、ウォープリーストはクレリックの別バージョンって形。これらの収録クラスの特徴ですが、全体的にタフでシンプルになっています。PHBのクラスと比較して行動の選択肢が減っていたり、複雑な作用をする能力は無くなっていたりしますが、自分の専門能力が判り易くかつ強力なのです。4版はマス目戦闘です。自分の立ち位置、敵の倒す順番だけでも充分戦略性が高いのですね。エッセンシャル版のクラスがシンプルだからといって、戦闘がシンプルになるってわけでもありません。


 初心者にD&Dを紹介するために出来合いキャラを作ってDMすることが多いのですが、去年から主にこちらのエッセンシャル版のクラスを使用しています。やはりセッションが上手く機能しやすいですね。例えば、防衛役のマーク能力を最初からバリバリ使用できる初心者は少なかったのですが、ナイトならそれなりに的確な運用ができるとか。


 ただ、エッセンシャルについて気になっていたことがありました。高レベルのセッションはどうなるのかという点です。現在、伝説級のキャンペーン『シルヴァー・クロース戦記』にプレイヤーとして参加中です。全員がデータを駆使したキャラ(従来のルールを使用しています)を作り、手数を増やすビルドでもって数ターンで敵を殲滅させる短期決戦パーティを形成しています。遭遇の初めのラウンドに先手を取った撃破役が敵に接敵、マイナー・アクションも駆使をして数回殴ってヒット・ポイントを200以上削って倒す。だいたいこんな感じでやっていますので、基本1発しか殴れないエッセンシャル版のクラスでどれだけの火力が期待できるのかってのが今一イメージできなかったのです。後、こちらのクラスの運用は簡単なのですが、伝説級になりデータが増えたとしてもそれは変わらないか? これらを試してみたいなと思っていました。


 で、ちょうど『HoFL』を入手して遊びたい、できれば伝説級をプレイしたという仲間がいたので、「どどんとふ」とスカイプを使用したオンラインセッションをやってみました。


 シナリオは『ダンジョン・デルヴ』を改造したもの。戦闘遭遇2回、技能チャレンジ1回とし、マップはそのままで敵のデータなどは大幅に変更しました。プレイヤーは5名。2名のベテランがウォープリーストとメイジを担当、ナイト、シーフ、スレイヤーはプレイ経験が少なく伝説級は初めてのプレイヤーが担当しました。後者の3クラスは運用が前者に対して簡単なので初心者にお勧めです。シーフとスレイヤーは自分が出来合いキャラを作成しました。


 まあ、4版プレイするのは1年ぶりってプレイヤーが大半で「1W増えたら固定ダメージも倍やっけ?」とか「斜めのマスも1歩で動けましたよね?」こんな感じでスタート。スレイヤーのプレイヤーはセッション30分前に出来合いキャラのデータをチェックとかもw でも、プレイし始めるとすぐにパーティとして機能し始めました!


 思ったよりも高ダメージがコンスタントに出力されるという感じで、百点以上のヒット・ポイントを持つ敵がばんばん倒される。ラストバトルはPCのほとんどが重傷になりましたが、だれも気絶することなくボスを撃破。みごとな勝利を飾りました。まあ、指揮役が実は撃破役だったり、制御役が実は指揮役だったり、撃破役が実は扇風機(素振りがお仕事)だったり、PC1番枠が実は引き立て役だったり、引き立て役のおっちゃんPCが実は主役だったりと番狂わせは多々ありましたが。まあ、こういう予測外のことも楽しいもんです!


 エッセンシャルの伝説級も面白いということを確信しました。後、重要なのが伝説級でも比較的ハードルが低い。後、デルヴ形式で短時間のオンラインセッションをプレイするのなどのプレイスタイルならば、エッセンシャルのクラスの方が適しているのかも知れません。もう来月にはもう一冊目の基本ルールである『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ』も出ますし。こちらにも5種類のクラスが掲載されており、これ単独でも遊べるような作りになっています。この調子でどんどん充実していって欲しいものです。


 後、拙作にはなりますが『HoFL』のデータを使用した2レベル・アドベンチャーホビージャパンの公式サイトで無料公開されました。


http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/support/files/4e_mountain_of_red_boar.pdf


 こちらには『HoFL』収録クラスの5種類の出来合いキャラクターをつけています。こちらには詳しいデータも記載しましたので、公開済みの「D&D第4版 クイックスタート・ルール」と併せることでお試しプレイが可能ですよ。だいたいルール説明も含めてプレイ時間が半日で収まるように、短めのシナリオにしています。4人以上のプレイを前提にしていますが、敵の数を調整するなどで3人でもプレイ可能です。この場合、出来合いキャラを使用するのならナイト、ウォープリースト、シーフがお勧めです。後、蛇足ですが、敵は若干弱めにしています。D&Dエンカウンターズ並みの歯応えが希望のDMは、敵の数を増やすなり、PCを1レベルにするなり、調整をお願いします。


 まあ、D&D4版の初めてプレイする方々にお勧めなエッセンシャル。4版は興味はあるけどちょっとなと思われていた方も、この機会にどうでしょうか?