ダーク・サン オンラインセッション『黒き焔』

 今回はダーク・サンのオンラインセッションについて。先日、旧版のコンバート・シナリオ『黒き焔』のDMをさせてもらいましたのでその簡単なプレイレポをば。

 旧版の原題は『Black Flames』で、以前もブログで取り上げています(ただ、題名を『Black Water』と勘違いしており修正しました)。突っ込み所の多いシナリオでしたが、その世紀末っぽさが逆に印象深かったのでこれにしました。また、ゲームブックのような情景イラストが多く、これもオンラインセッションに最適かなと。シナリオの流れはそのままに8レベル用にコンバートしました。旧版は初期レベルから1〜2レベル程度上がった位でやるレギュレーションなのですが、あの内容でそれはないだろうって感じだったのでw


 今回は5名の方が参加してくれ、同行NPCを合わせて6人パーティになりました。

カッシール ヒューマン/ナイト/善
 キャラクター・テーマは剣闘士。自由都市タイァの解放奴隷。ゴージ(極広刃槍)の使い手にしてポージングを極めた兄貴。パーティの守護神的立ち位置で、ナイトのバトル・ガーディアンはミスしてもダメージを与える点が大変優秀ということを幾度も証明。

ダルティス エラドリン/バード/無属性
 キャラクター・テーマはアサスの吟遊詩人。アサスには珍しいエラドリンで、秘匿同盟にパイプを持つ。パーティの知恵袋にして名サポーター。

アブラクス ドレイ(ドラゴンボーン)/アーデント/善
 キャラクター・テーマは傭兵。邪悪な種族ドレイでは珍しい善属性。時たま自然にかえってシャーシャー喚くのが趣味。撃破役よりの頼れる指揮役。

アブディストゥス ヒューマン/妖術王契約ウォーロック/無属性
 キャラクター・テーマは寺院守護者(テンプラー)。タイァを支配していた妖術王キャラックの元・配下で、現在は自由都市のエージェント。自分のロッドにキャラックの精髄の残滓が宿っていると信じており、その声に惑わされる毎日。趣味は任務そっちのけの宝漁り。

アウメネス ヒューマン/ウィザード/善
 キャラクター・テーマは秘匿同盟。浸蝕の魔術を使用する妖術王とその配下に対し、保全の魔術を使う秘術魔法使いの地下組織の一員。パーティの頭脳役で、戦闘時ではテクニカルなパワーで仲間を援助。

ボーハマー ムル/同行NPC(撃破役)
 タイァ出身の元・剣闘士のドジっ男。本シナリオの萌え要素。無茶なストーリーのゴリ押し要員。


 以下から『Black Flames』のネタバレがあります。まあ、1993年発売の未訳シナリオなんで、これからプレイされる方はまずいないと思いますが。


 一行は隊商の護衛、ウリクからレアンへと続く“王の道”を進んでいる。すると前方から極々一般的な放浪者の一団がっ!


『水をぉぉ、一滴でも水をぉぉ』

 『汚物は消毒だっ!』 護衛隊長の一言で蹴散らされる放浪者たち。これがアサスの日常。PCたちは彼らが『黒き水の呪いが……』などと口にしていたのを耳にします。

 その後、PC一行は護衛隊長から斥候の任を受けます。

『これ、フラグだよね』

 Yes! I Can! 突如として湧きあがった砂嵐が後方の隊商を持ちあげ、PC一行も吹き飛ばされます。


 PCたちが目を覚ますと、そこは知らない土地。そして、向こうから見知らぬ一団が近づいてきます。リーダー格は笑顔が素敵な上半身裸に黒マントの紳士。彼は親切に話しかけます。『あなた方、大変だったでしょう? ここに冷たい水と食料があります。如何ですかな?』と。

 1日分の食料しか持たず、空腹で喉も乾いている一行。同行NPCのボーハマーがこう言います。

『親切だが怪しい! むむ、しかしここまであからさまなのは、逆に照れ隠しかも知んねぇ!』

 食糧を貪り喰らうボーハマー。ボーハマーに異変がないことを確認してから『ボーハマーがそう言うのならそうなんだろう』と続くカッシール。残り4名は食べる振りをしますが、アブディストゥスは2人にバレてしまい『もらすなよ』と水を飲まされます。

 一行が一息つく時を見計らって、上半身裸紳士ファークリュンが演説をぶちます。『ふむふむ、美味だったかな? 何と? お返しにできることは何かと? むむ、ならば教えてしんぜよう! 我は絶大なれど、あの使命は独りでは達せぬ。お主たちは我の手助けをしなければならぬ。 ん、何故かと? これで腑に落ちるだろう。先ほどお主らが貪り喰らっていたのは“黒き水のオアシス”のもの、そう、呪いをもたらす一品よ。されど、呪いの解除法は廃都ヤラミュークで見つかる。我もそこで秘術書を探す使命がある。では、親愛なるご友人たちよ。返事をお聞かせ願おう?』と、ゴゥイィィン!

 『な、何だってぇ! 黒き水の呪いだってぇ!(棒読み)』と、極めて自然なホットスタートで冒険開始。



 PCたちは“黒き水の呪い”が酷くならないうちにできるだけ早くヤラミュークの廃墟を探索しなければなりません。これら一連の探索は主に変則的技能チャレンジで行ないました。探索の内容毎に技能チャレンジをフェイズに分割、フェイズ毎に一定数の成功数を求めるという形。スリーアウト制にしない代わりに、かかったラウンド数に応じて回復力の使用回数を減少。また、「危機回避」および「宝物探し」の判定も可能で、これらの成功数によって前者は回復力使用回数の減少を防ぎ、後者は魔法のアイテムを得ることができます。フェイズ毎に使用技能のなどの設定を変えて、流れ作業にはならないような形を目指しました。

 戦闘と探索はD&Dの肝なのですが、コンベンションやオンラインセッションなどの限られた時間内でストーリーを進めたい時は、このうようなやり方もありと思います。

 ただ今回は、自分の得意な技能のロールを優先という流れをギミックで変えるほどでは無かったので、そこは反省点です。


 カッシールの威圧ポージングがキレてたり、だらしなかったり、他の男共がそれに見とれてたり、なかったり。そんな感じで技能チャレンジを進める途中で1回目の戦闘遭遇を挿入。

 PCたちと同数の雑魚スケルトン、それにガーゴイル5体とドワーフ・バンシー。ガーゴイルの内2体とバンシーは伝説級です。初心者向けセッションでは3レベル以上の敵は出さないし、敵の数も減らしますが、ベテラン・プレイヤーたちには物足りなさすぎるでしょう。3〜4レベル上の敵も何体か出さないと瞬殺される場合が多々あります。

 しかし、今回は苦戦。まあ、攻撃ロールで6以下を連発したらねぇ。まあ、とは言っても気絶者も出さずに戦闘終了。指揮役2枚は流石にしぶといです。


 そして、技能チャレンジを再開。途中で一晩経過し、3人の呪いが悪化。しかしその日、ファークリュンの願いどおり、彼を妖術女王シオバの宮殿跡に連れていく所まで進めます。そこでファークリュンは高レベル儀式を行ない、宮殿の時間を巻き戻して修復。今度は、宮殿で“秘術書”を探せと命じます。そして、技能チャレンジにより“黒き水の巻物”を発見した一行。これが目的の宝と直感します。すると、おやファークリュンの様子が……。

 エピッキュゥゥンとドラゴンに姿を変えるファークリュン。何と彼は妖術王級の浸食の秘術使いだったのです。ちなみに妖術王レベルのNPCは、一子相伝暗殺拳の後継者級の使い手程度にゴロゴロいる模様。さらに追い打ちをかけるように都市国家レアンの妖術女王、セクシーおダイナマイツなアバルァチュリィが乱入。お二方が怪獣大決戦をやっている側から、巻物を取り戻して脱出。


 すると、外にはアバルァチュリィの配下のアンデッドがうようよいるわ、宮殿の防衛機能の黒曜石ゴーレムたちがパラゴォォンと登場。

 命からがら宮殿を脱出すると、外はシナリオの冒頭で出会った放浪者型アンデッドとスケルトンが数百体うようよ。しかし、スケルトンたちはフレンドリーに近づいてきます。何やら“黒き水の呪い”にかかった者のなれの果てがこれらのアンデッドで、スケルトンは狂気に犯されていない模様。『君たちが持っているのは“黒き水の巻物”だNE! “黒き水のオアシス”で儀式をやると呪いが解けるYO! オアシスにはドルイドがいるから協力してもらうといいYO!』とメタい助言をしてくれます。

 スケルトンの群れに協力してもらい500体のアンデッドの荒野を突き進む一行。そして、ドルイドを発見。『おまえらに割く時間などない。オアシスは大事じゃ。しかし、おまえらはそうではない。助けてやれることなどない。去るがよい』とアサス風ツンデレ対応をするおじいちゃん。技能チャレンジでそこを説き伏せて、儀式敢行!


 ちゅど〜〜ん、黒き焔の儀式じゃぁぁい!


 たび重なる技能チャレンジにおいて、ダイス目が一向に振るわなかったPCたちは回復力回数がガタガタ。ウィザードのアウメネスにいたっては0。しかし、呪いに苛まれていた者たちは解呪に伴いミラクルな力が体中に滾ります。何のため? もちろん、ラスボス戦のため!


 向こうから深手を負ったファークリュンが登場。22レベル単独暴れ役。もちろん、様々なデチューンを施しています。最初から重傷値だったり、半減ダメージだったり、命中ボーナスと防御値を軒並み下げたり。所詮、数の暴力。パワーアップしたPCたちは楽勝……と思ったのですが、まあ、大前提として出目は10以上でっ。3とかはダメダメ。

 アブディストゥスが気絶などするものの、やはり多勢に無勢。カッシールのゴージに貫かれファークリュンは倒れます。

『やった、ドラゴン・スレイヤーや!』

『そうか、そうか、ほなさいなら』


 終わりよければすべて善し。アサスの2つの太陽を背に笑顔でキメっ!



 大雑把ですがこんな感じのセッションでした。参加者の皆さまありがとうございました。最高にハイな今年のTRPG納めになりました。


 本年は当ブログにお越しいただきありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

 よいお年を!