まい・でぃあ・野蛮人

 『ダンジョンズ&ドラゴンズ4版』の『プレイヤーズ・ハンドブック2』(以下PHB2)が発売されましたね。


プレイヤーズ・ハンドブック2 第4版 (ダンジョンズ&ドラゴンズ サプリメント) (ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版基本ルールブック)

プレイヤーズ・ハンドブック2 第4版 (ダンジョンズ&ドラゴンズ サプリメント) (ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版基本ルールブック)


 新種族が5つ、新クラスが8つも追加されています。新クラスは、『プレイヤーズ・ハンドブック』(以下PHB)の基本クラスに比べると、どれもアクの強いものですね。特に今回は“原始”パワーのクラスが追加されたのが個人的には嬉しいです。

 特にバーバリアンは個人的に大好きなクラスです。今回はバーバリアンのデータ面での使用感などを、体験をもとに紹介します。


 まずは自キャラのデータから。


名前:ユルク 性別:♂ 属性:善
種族:ハーフオーク クラス:バーバリアン レベル:5
【筋】19、【耐】14、【敏】17、【知】08、【判】12、【魅】11
AC:21、頑健:19、反応:17、意志:14
ヒット・ポイント:53 一日の回復力使用回数:10
修得済み技能:〈運動〉、〈持久力〉、〈知覚〉
特技:《武器練達:重刀剣類》、《武器熟練:重刀剣類》、《武器習熟:バスタード・ソード》
クラス特徴パワー:スウィフト・チャージ、レイジ・ストライク
無限回パワー:ハウリング・ストライク、プレシング・ストライク
遭遇毎パワー:アヴァランチ・ストライク、ブレード・スウィープ
一日毎パワー:メイステイルズ・レイジ、シルヴァー・フェニックス・レイジ
汎用パワー:タイガーズ・リープ
所持品:バスタード・ソード+1、ハイド・アーマー+2、クローク・オヴ・レジスタンス+1、ホーンド・ヘルム


 これはPHB2の原書が発売された直後に作成し、キャンペーンに参加したキャラクターで、2レベルから冒険を通じて5レベルまで成長しています。キャンペーンのレギュレーションは、当時はPHBと発売中のPower本(当初は『武勇の書』のみ)、PHB2、『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』でした。


 “王者のバーバリアン”も魅力的なのですが能力値の分配が難しそうなので、“滾る血のバーバリアン”にしています。ただ、それでも能力値配分は悩みました。【筋】18、【耐】12、【敏】18、【知】08、【判】12、【魅】10でも良かったような気もします。“燃えたぎる活力”のために【耐】14にしましたが、これは《燃えたぎる活力強化》で補えますし。【敏】上がるとACと“反応”、イニシアティブが上昇します。また、バーバリアンはハイド・アーマーが基本で、4版では軽装鎧は【敏】か【知】を成長させていくクラスを前提に設定されていますね(例えば、【敏】16+ハイドでAC16。スケイルはAC17なので1低いだけです。しかし、それぞれ+4のマジック・アーマーにすると、ハイドはAC21に対してスケイルはAC24と差が3に拡大します。【敏】を20以上に成長させた場合は、差は1のままです)。ただし、バーバリアンのパワーに【耐】が関係するものが多いし、そもそも高レベルまでキャンペーンが続くのか不明なので大変悩ましい。ま、こういう所で色々頭を使うのも楽しいものですが(笑)。


 撃破役なので防御能力より攻撃力を重視して、【筋】20にするのももちろん手です。ただし、攻撃特化型のキャラクターは、パーティーの面子と相談が必要ですね。このキャンペーンは、DMの休みのとれる日が不規則で、また参加者全員が社会人のために、参加可能な面子のみでセッションを行なっています。このゲームはパーティー連携がもちろんとても大事ですが、ある程度ひとりでもある程度何とかなるキャラを目指しています。ちなみに他のPCは、ヒューマンの護衛型ファイターとディーヴァの豹のシャーマン、ハーフエルフの勇気のバード、エルフの追討型アヴェンジャー、ドラゴンボーンの竜のソーサラーです。はい、ファイター以外はPHBⅡのクラスで、半分が撃破役です(笑)。セッションで誰と組めるのかは不明なので、定番をあまり気にせずにまずはやりたいキャラを選んだ結果です。



 変則的なパーティでありますが、この中でのバーバリアンの使用感をば。バーバリアンと言えば火力。しかも、基本的に無限回パワーがダメージソースなので、安定的な出力が期待できます。このキャラクターのメインの攻撃手段は無限回パワーのハウリング・ストライクによる突撃です。ホーンド・ヘルムのおかげで、+12対ACで1d10+2d6+7(期待値20)ダメージを叩きだせます(ちなにみ、ハウリング・ストライクは両手武器が必要ですが、DMは両用武器を両手で使用した場合も含めると解釈しています。そうしないと、小型サイズのバーバリアンは悲しいですしね)。【敏】18で《武器熟練:軽刀剣類》と《背後からの一刺し》を修得しダガー+1を装備したローグが、ピアシング・ストライクで急所攻撃した場合のダメージは1d4+2d8+6(期待値18)。バーバリアンの方が少し高火力となります。また、突撃しない場合でも1d10+1d6+7(期待値16)なので急所攻撃よりちょっと少ないダメージを使用条件なしで叩きだせる形になります。


まあ、命中率が全然ちゃうけどな!!


 これが、大変重要。攻撃は思いのほか外れます。レンジャーやアヴェンジャーとは異なり攻撃ロールを複数回できるわけでも、ローグのように高い命中率を誇るわけでもないのです。高ダメージを期待する分、外した時の印象が強いというのもありますが、しかし対ACへの攻撃は命中率70〜80%確保とはなかなかいきません。まあ、サイの目3じゃ、挟撃位置に突撃しても外すしなっ! アヴァランチ・ストライクという3d10+9ダメージだけど、次のターンの開始までに自分に対するすべての攻撃ロールに+4のボーナスを与えるという実に男気溢れる1レベル遭遇パワーを修得しています。リスキーで使い時が難しいですが、味方がマークしてくれている単独の敵に対してや、ラッシュをかける時、敵が対“意志”の攻撃をしてきてどのみち高確率で被弾する場合、回復回数に余裕があり指揮役が二人いる場合、とりあえずぶちかましたいんじゃぁぁって時など結構使用できます。でも、これも当たらんのじゃぁぁぁ!! アヴェンジャー先生にディヴァイン・ガイダンスを使用してもらい、2回ロールした場合でも外したことがあます(涙)。まあ、件のアヴェンジャー先生も一日毎パワーをオース・オヴ・エンミティとエルヴン・アキュラシィで4回ロールしてもなおも外したことがあるしなっ。まあ、D&D4版とはサイの目に笑い、サイの目に泣くこんなゲームなのです。


 機動力もバーバリアンの強い武器でしょう。高い筋力と〈運動〉修得、軽装鎧のために、崖を登ったりするのも得意。戦線の裏に回り込んで突撃とか、崖の上から射撃してくる砲撃役に肉薄などはお手の物です。


 技能面はしょっぱく、クラス修得技能は最低の3個。技能面でも活躍が期待される撃破役にとってこれは辛いです。撃破役のファイーストチョイスは、やはりダメージ出力や技能面が充実しているローグですね。しかし、バーバリアンにはしぶといという利点があります。


 防御能力はそれほど高くないですが、撃破役では飛び抜けたヒット・ポイントと回復力回数を持っており、一時的ヒット・ポイントを得る手段も持っています(とはいっても無限回パワーのリキュペレイティング・ストライクは、滾る血のバーバリアンであってもヒューマン以外は取りづらいかな。一時的ヒット・ポイントよりもダメージ出力を優先すべきケースが多いかと思います)。防御役の代わりにはなりませんが、防御役などの補助がなくてもある程度戦えるというのが強みです。


 実際どんなものかは、前回参加したセッションを例にあげてみます。そのセッションは、自分の他にアヴェンジャーとバード、ファイターが参加し、4名でやる段取りでした。しかし、ファイターのPCが体調不良のためにドタキャン。結局、撃破役2名と指揮役1名という実にアンバランスな面子でやることになりました。防御役キャラを作成し別キャラでの参加なども考えました、アヴェンジャーも補助がなくてもなんとかなる撃破役なので、このままでプレイすることに。シナリオは誘拐された子供たちを救いに行くというもので、結論からいうとこの3名でもミッションクリアできました。戦闘遭遇4回と技能チャレンジ2回を連続して行なうというものでしたが、何とかなりました。まあ、ラストバトルでは、子供を救出した時点でパーティーの残り回復回数0で全員ヒット・ポイントが一桁だったので、ボスを倒さずに撤退しましたが。基本的に撃たれ強いバーバリアンと、防御値に優れるアヴェンジャー先生で戦線を構築。バード様に後ろから援護してもらうという形でした。敵を重傷か、ヒット・ポイントを0以下にすると、バード様の勇の徳の特徴で一時的ヒット・ポイントを5点もらえたのも大きかったです。また、ラストバトルではシルヴァー・フェニックス・レイジの再生3がかなり大きかったです。技能エンカウターでは、バード様が大活躍。まあ、【知】が全員8だったので、知識系は辛かったですが(笑)。


 このセッションをクリアしたことで6レベルアップできました。次のセッションから『冒険者の宝物庫』と『冒険者の宝物庫Ⅱ』(未訳)がレギュレーションに追加されたので、さらにパワーアップ。《武器習熟:バスタード・ソード》を《武器習熟:フルブレード》に再訓練。バスタード・ソード+1をヴァンガード・フルブレード+1に買い換えました。後、ブーツ・オヴ・アデプト・チャージングと『宝物庫Ⅱ』のBadge of the Berserker+2を狙っています(Badge of the Berserkerは突撃時の移動が機会攻撃を誘発しなくなるといういかがわしい首装備)。これで、ハウリング・ストライクによる突撃のダメージが1d12+1d8+2d6+6(期待値25)にっ! もしこれがクリティカル・ヒットして、さらにハーフオークのフューリアス・アソールトを使用したら何と24+2d12+2d8+1d6(期待値49)!! 流石、バーバリアン! 瞬間的なダメージ出力は随一!

 ちなみに、9レベルで9レベルの一日毎パワーをレイジ・ストライクに変換し、それがクリティカル・ヒットして、さらにハーフオークのフューリアス・アソールトを使用した場合、66+2d12+1d8(期待値84)! 武器がヴィシャス・フルブレード+2だったら、66+4d12(期待値92)で仲間の支援があれば英雄級であっても三桁に届くかも(笑)。


 まあ実際は9レベルで9レベルの一日毎パワーをレイジ・ストライクに変換することはちょっとナンセンスですし、最大瞬間ダメージ出力だけを考えてキャラクター・ビルディングをしても駄目なゲームではあります。でも、猛り狂いながら巨大な武器を振りまわし、大ダメージを与えたいならバーバリアンですね。バーバリアンには色んな浪漫が詰まっています。

 アヴェンジャーも巨大な武器で大ダメージを狙えるクラスですが、神敵撲滅のための戦士よりも、原始の精霊を体内に宿す野蛮人のほうが個人的に好みです。


 ビバ、バーバリアン!