TORGエタニティ シナリオ作成のコツ

 ども、久々の更新です。

 先週、哲郎さんが主催されるTORGエタニティのオンリーコンベンションに参加させてもらいました。デイ・ワンのアイルシナリオが2卓たち、半数以上が初心者の方でした。初心者の方たちの受けがよく、当日にデイワンシナリオを買いいかれたとのこと。凄いですね!

 

 

 

 公式シナリオで和訳されているのはデイ・ワンだけになります。
 デイワン以外に遊ぼうと思ったら、公式シナリオを和訳するか自作する必要があります。

 今回は自作シナリオのコツを紹介します。もっとも、自己流のやり方なので参考までに。
 いや、本当にシナリオメイキングは、各自のプレイスタイルやら経験やら、センスに左右されるものと思っています。

 そこら辺も丁寧にひも解いてやろうと思います。

 自分のスタイルですが、ノリ(笑い)重視とシステム寄りです。美しいストーリーや格好良いロールプレイよりも、セッション中の笑いを重視。システム寄りというのは、データを駆使して遊ぶタイプだけど、ルール解釈ガチガチよりも場のノリを重視することもある感じ。TORGエタニティで言えば、ノリ重視でよいロールプレイにポシビリティをガンガン与えるというマスタリングはしませんが、面白い提案とかはルール多少曲げても対応するし、複雑な処理はセッションの進行度などを見て簡略化したりする感じです。世界設定の活用に関しては、重要なポイントは抑えつつ、自分なりの解釈を加えて、俺ワールドを展開させる傾向が強いですね。

 シナリオを作る際、核を1つ決めます。核とは「演出したいシーン」などですが、自分の場合、大体がネタ(ギャグ)です。TORGの世界はリアリティごちゃまぜの世界なので、混沌としたシチュエーションが生まれやすいです。サイバー教皇領に支配されたブラジル。バイキング拳法家のギャングとサイバー異端審問官の戦いに、ティラノサウルスのゾンビを連れた復讐者が! この三つ巴の戦いに、ストームナイトが割って入るみたいな、妄言じみたシチュエーションもできちゃうんですね。
 まず、「なんやこれ!」って仕掛けを考えます。ちなみに自分の場合、身内セッションを想定して作ることが多く、およそアラフォー世代以上のおっさん友達が想定プレイヤーになりますのでご留意を。ファンタジーで鉄板のネタ、ドラゴン。ただ、ドラゴン自体に色々なニュアンスが含まれています。「燃えよドラゴン・スレイヤー!」というシナリオ名を思いつきました。カンフー映画の巨頭ブルー・スリーの「燃えよドラゴン」のパロディですね。ファンタジー世界のアイルでドラゴン退治を依頼されたストームナイトが、最終的に「ドラゴン」――凄腕の武道家と戦うというシナリオはありですね。ただ、シナリオ途中で武道家を匂わしたら、勘の良いプレイヤーならオチを読むことが想定できます。もう一捻りってことで、ラスボスは武道家のドラゴンに決定。「ドラゴンのドラゴンかい~」ってね。拳法を使うドラゴンなら、アメコミ世界のリアリティであるナイル帝国のパルプ・ドラゴンですね。舞台はアイル、パンパシフィカの干渉から拳法家のドラゴンを匂わせて、オチはパルプ・ドラゴン。流れはできました。後は肉付けです。
 導入はアイルでデルファイ評議会からドラゴン退治の依頼を受けるで決定。で、ドラゴン退治なので、かれこれこういうドラゴンが居て、こういう被害がでているという形になるのが普通です。ただ、オチの関係ネタバレできません。そこで、ロンドンにドラゴンが襲撃するらしいという予言を受けたということにします。ファンタジー世界のアイルなら予言(呪文や奇跡)は軽いものではないけど、不確定な話なので駆け出しストームナイトに真偽を確かめるための指令が下ったみたいな形にできます。次にパンパシフィカとカンフー・ドラゴンの関与。何故、ロンドンにいるのかという動機付けです。武道に関する宝を狙ってっていうのが妥当でしょうね。パンパシフィカのエタニティーシャードってのが妥当でしょうが、捻りがない。カンフー・ドラゴンが欲しがりそうなものとして、カンフー映画集を秘伝書と勘違いしているというのはありがちかも。秘伝書の正体がパンパシフィカ製のメモリスティックってのも意外性があるかも。いや、いっそのことコアアースのカルト的人気のカンフー映画DVD集がハードポイント化したものの方がそれっぽいかも。パンパシフィカも欲しがるだろうし。舞台は英国なので、香港がらみはありそう。そこで、香港のカンフー・スターの香港返還記念に作成されたDVD集などどうだろう。シナリオ中に名前をそのまま出すのはあれなので、ジャック・チェンにして。で、ここまで考えたら導入の予言も「『ジャックの鎖の書』を求めてドラゴン、ロンドンに来襲す」という形にできますね。『ジャック・チェン大全』というコアアースのDVD名前をアイルリアリティで解釈したら、こんな感じでしょうか。ジャックは人名と判定できるとして、チェンはチェーン(鎖)と誤解みたいな。5枚組DVDを「書から5つの光の輪が見えます」とかにすれば、「五輪の書」とのミスリードもあっていい感じですね。ちなみに、ここら辺のネタの連鎖は一発ででるものでもなく、数日あーだこーだ考えて、練っていく感じです。
 肉付けは完成。次にシステム的にどうするか、落とし込んでいきます。1アクトのシナリオとして、戦闘2回、ドラマチックな問題解決1回、ラストバトルの構成にします。1回目はパンパシフィカ勢力との接触。アイルでよくいる敵(ラーク)などが、日本人サラリーマンを襲っているところをストームナイトが助ける。彼らは骨董品を求めてアイルに来た商社マンとします。次に、『ジャックの鎖の書』についての調査。ドラマチックな問題解決にします。最終的にそのような骨董品を扱っているコアアースのブローカーがチャイナタウンにいるとします。その店ではスマートフォンがつながるとかすると、目的の書がハードポイントではないかという情報の小出しにもなりますね。ようやく見つけたブローカーは、すでに死体。眉間に手裏剣が刺さっており「何で、ニンジャ?!」展開。『ジャックの鎖の書』を追って、ニンジャたちと戦闘。勝利後、『ジャック・チェン大全』のネタバレがあり、そこにドラゴンが来襲し、ラストバトル。この程度までラフに組みます。TORGエタニティでは、カードの効果で色々ハプニングが起きます。ラフに作って色々調整できるようにした方が回しやすいですね。NPCもかっちり作るより、役割と属性を決める程度でもよいです。NPCと恋に落ちるロマンスカードがあるため、性別もPCに性別に合わせて調整します。で、ロマンスカードを引いたPCの好みに合わせのもグッド。ネームドニンジャだったら、実は男装していたセクシーくのいちだったとか、女装していた美少年サイキックニンジャとか、無理やりNPC性別を変更するのもTORGではありと思っています。流れもPCたちの食いつきによって調整しましょう。ブローカーの受けがよければ、生存していてよいし、ニンジャを改心させたければ、そうさせて、ヌケニン絶対殺すマン上司がでてきて共に倒すなんかでもよいです。もっと言えば、シナリオ自体のメインフローも受けが悪そうで、よりPCに受けていることがあれば、それにシフトさせることもありかと。
 敵のデータですが、ピッタリのデータがない場合がほとんどです。ですので、基本ルールに乗っているエネミーデータを流用し、カスタマイズしましょう。ラスボスのカンフー・ドラゴンはドラゴンのデータそのままでは強すぎるので、サイバー教皇領のガーゴイルをベースに魔法能力をパルプパワーに変えてカスタマイズとか。ニンジャは、ネームドはPC作成ルール使い中ボス程度に成長させるとかですね。TORGエタニティはデータカスタマイズが簡単な方なので、近接タイプ雑魚や術者タイプ中ボスなどの各レルムのテンプレートを乗っけるだけでそれっぽくできますよ。

 最期、シナリオのPCデータについて。ストーリーをPLではなくてPCにも理解してもらえるのが望ましいですね。プレロールドPCを用意するのが一つの手。舞台になるアイル出身者は欲しいですね。後、(知性がそれなりに高い)コアアース人がいれば大体のシチュエーションの解説役になれます。今回のシナリオではパンパシフィカ出身がいればスムーズですね。パンパシフィカのエレトリックサムライ、アイルの魔術師、コアアースの宗教家、4人目は自由枠とかでしょうか。キャラメイクしてもらう場合は、推奨コズムを打ち出したりします。今回のケースでは、「必須:火力役(ダメージ基本値、耐久力、共に13以上)。推奨レルム:アイル、パンパシフィカ、コアアース。推奨:魔法使い」みたいな感じでしょうか。

 とりあえず、自分流のシナリオ作成術の紹介でした。前述しましたが、やり方は個人的なものなので参考程度にしかならないと思います。まずは、やってみるのが大切かと。TORGエタニティは、システムでストーリーテリングを補助してくれる部分が大きいです。どこかのレルムで悪漢に追いかけられている少女を出し、戦闘、ドラマチックな問題解決、ラストバトル等の王道パターンでも、カードによるイベントとか入るので、ユニークなセッションになりがちです。カードのなどの内容をどうアドリブするかについては、経験とセンスによるところが大きいかなと思います。

 参考になりましたら幸いです。