トーグが帰ってきた! TORG Eternity

 ご無沙汰しております。更新が年1回程度になっております。昨年も、D&D4版の伝説級キャンペーンのDMやったり、英雄級キャンペーンにPL参加したり、Earth Dawn4版のキャンペーンのマスターをやり切ったり、充実したTRPGライフを送ってました。

 昨年の眼玉といえば、TORG Etarnityです。これ2013年にブログで紹介したTORGの最新版になります。昨年にキックスタート開始。開始後、半日で目標額8千ドル達成! 最終的には2千人以上の出資者から35万ドルを超す資金が調達されました。日本にルールブックなどが届くのは、今年の3月以降になる見込みですが、出資者にPDFは配布済み! 公式シナリオのプレイヤーで遊んだり、冬コミの同人誌に紹介記事を寄稿させてもらいました。


 TORG Etarnityは、TORGの世界観とシステムを現代風にアップデートしたものです。ニッポンテックが中国を含めたコズムに変わるとか、システムでD6も使用するとか、事前情報で不安に感じる部分もぶっちゃけありました。しかし、蓋を開けたら、以前の遊びごたえが、現代風にリブーストされていました!

 変更点は色々あるのですが、個人的に大きな部分をピックアップ。

世界観
・ハイロードの侵略を受けたのが、1990年代から現在に変更。
・ニッポンテックが中国、韓国を含めたパン・パシフィカに。金輪産業は健在だけど、レルムのテーマが「キョンシー・ゾンビパニック」、「カンフー映画」と「韓流ハードボイルド」風に。
・ハイテクデーモンが支配する世紀末世界観のサーコルドが基本コズムに追加。

ルール
・難易度、達成レベル周りが整理されシンプルに。
・キャラクターの特殊能力を表すパーク(Perks)の追加。
・経験値ルールを追加。ポシビリティは幕間ごとに基本値にリセットされる形に。
・ダメージ決定にボーナス・ダイス(D6)追加。
・ドラマカードが3つに細分化。

 例えば、ドラマカードは、遭遇ラインを決定するドラマカード、強化などに使用するデスニティカード、コズム特有のイベントを決定するコズムカードに分かれました。

 「アドレナリン」などはデスティニーカードになったわけです。ちなにみカード効果も現代風にアップデート。あの「ロマンス」の対象から「異性」という括りがなくりましたぜ、旦那! つまりですね、「同性」、いやさ、「性別なし」でもええんですよ! ずばり、ダークネスデバイスにも使用可能! 「大黒、おまえの漆黒の世界を桃色に染めてやるぜ!」とか一度は言いたい台詞っすね!


 ま、こういう説明だけではイメージがわきにくい部分もあると思いますので、実例をば。今年初めてのTRPGセッションを、TORG Etarnityのマスターで行いました。シナリオメイクから、リプレイっぽいのまでどんな感じだったかのセッションレポートを挙げますね。



 ただ、テキトーな身内セッションの記録なので、そこは割り引いてくださいね。

 まず、シナリオメイキング。前作TORGのマスター経験はそんなにないので、プレイしやすいコズムを選びます。個人的にはアイルかナイル帝国ですね。アイルは公式シナリオのPLに参加したことがあるので、勝手の少し判るこちらに決定。

 マスター経験者からTORG Etarnityはコズムカードでイベントがポコポコ起こるので、シナリオを作りこまない方がやりやすいと聞いてます。自分のマスタリングはアドリブ寄りなので、やりやすいですね。しかし、シナリオの核はいります。そこで、旧版のシナリオ用に考えていたネタを使おうと思いました。


 アイルで「砦に半裸の蛮族がいる。背中に炎の悪魔のタトゥーをした戦士だ」という情報を与えます。実は、背中に仁王の入れ墨をしたヤクザだったというミスリードネタ。砦とヤクザというキーワードをネタに話を膨らませるんですね。

 この時点でPL募集開始。結局、身内サークルの10年以上つるんで遊んでたTORG猛者5名が参加することが決定。奴らなら、シナリオが何であろうが、勝手に盛り上がってくれるという奇妙な安心感があります。

 PLにEtarnity出資者が3名いるので、当日キャラメイクすることに決定。データ見たら作りたくなるのが、ゲーマーの性と思っています。


 3週間くらい前にカード印刷完了。シナリオの細部をボチボチ考えていきます。イギリスの砦で、ピンとくるのは何か? 「第9兵団のワシ」の壁かなぁ?


 このアイディアで進めていたんですが、1週間前に布団の中でピンときました。イギリスってたら、モンティパイソンやん! アーサー王を題材にした「ホーリーグレイル」って映画あったやん! あれ、ファンタジー業界に多大な影響を与えているやん!

 ウェブでチャッチャと調べたらロケ地はドゥーン城ってとこでした。ここを舞台に決定。そうすると連鎖的にアイディアがわいてきます。シナリオの核に「聖杯」を持ってくるのはTORG的にNGと判断。代わりに劇中にでてきた「ホーリーグレネード」(聖なる手榴弾)というふざけたアイテムにすることに決定。これをエタニティシャード的サムシングに決定。イギリス人の希望ってこういう諧謔精神に満ちた物になるに違いない!

 次にNPCの設定。ヤクザを出すのは決定事項。後、何をどうだすか? そこで、劇中のホーリーグレネードにまつわるエピソードを思い出します。アーサー王はアホなので、三位一体の聖なる数字「3」を数えられず、ピンを抜いてから「1、2、5」ってカウントしてしまうというブラックジョークです。

 シナリオ名を「カウント・ワン・ツー・スリー」にして、メイン遭遇を3つにすることに決定。ヤクザの名前を三郎に決定。アイルの敵として2つ首の巨人。最後の1を表す人物を何にするか? 怪しい爆弾といったら、ナイル帝国のリアリティ爆弾を連想しますよね。ということで、ナイルに決定。名前は王(ワン)というエセ中華系キャラに決定。で、伯爵(Count)を名乗らさせれば、カウント・ワンで駄洒落になるよね〜

 ということでシナリオのデータ以外の部分はほぼ完成。


 しかし、忘れちゃいけいないのが、ロマンス要員。カードによるイベントがあるので、ある程度のヒロイン枠NPC(男性含む)は用意していた方がいいです。もっと言えば、NPCの性別はある程度、どっちでもいい感じにしておいた方が楽です。

 以前にマスターした旧版のシナリオでは、プレイヤーたち全員が“オタサーの姫”やると言ってNPC半分程度の性別を入れ替えたこともあります(しかも、オタサーの姫のロールプレイを全員が5分で飽きやがりましたw)。

 本作のロマンスカードは1枚ですので、1〜2名用意できれば十分でしょう。三郎は背中の入れ墨があるので、女性じゃやりにくいので男性に固定。そこで、同行者NPCとして「ホーリーグレイル」からサー・ロビンをピックアップ。勇敢なる“チキン野郎”ですね(サー・ロビンの歌は最高です!)。ロビンは女性名にしても日本じゃ違和感ないしね。


 普段は元ネタがあるシナリオは避けますが、勝手知ったる身内。半分はモンティパイソンを知っていることは把握。また、パロディがセッションの本筋にならず、PC同士のツッコミ合いがメインであることは、メンツの顔ぶれでほぼ確定しています。


 で、当日。サークルの後輩でオンラインセッションツール「どどんとふ」の製作者、たいたい竹流君も参加者の1人。TORGマニアの彼は、最高額の1,000$でキックスターターの出資をした猛者中の猛者です。アメリカのGenコンで製作者とプレイしてきて、デルファイ評議会NPC眼鏡っ子女子大生のハッカーの設定をぶち込んできやがりました。

 今回の依頼はこの女子大生からなされるように事前連絡済み。で、集合場所に行っても奴さんがいません。どうやら、犬の散歩で遅れるとツイート済みとのこと。ま、あるある〜


 他のプレイヤーがキャラ作成を進めていると、たいたい氏が到着。キャラメイクどうする? 依頼主の眼鏡っ子ハッカーにするのと聞いたところ、「しない」。データを作成したら倒されてしまうので作らないという極めてゲーマーらしい主張。キャライメージは決まっていて、「アース君」にするとのこと。

 このアース君は、たいたい竹流君マスターのTORGのキャンペーンのNPCです。このキャンペーン、年に2回ある合宿で行うフリー参加型のものでして、10年以上続いていました。アース君は、各コズムを旅する劇団の少年団長でして、PCたちの依頼主。藤田和日郎の弟系少年主人公タイプ。

 イメージができているので、キャラメイクは早く、周りも茶々を入れます。

「リアリティと説得、知識は高めだな」

「能力値は、魅力高めで筋力低め?」

「いや、オール平均値の8っしょ!」

「そ・れ・だ!」


 わいわいやりながら、キャラメイク完成。今回のセッションのストームナイトは下記の5人だ!

月影アース(コアアースの弟系少年主人公)
 プレイヤーはたいたい竹流君。支援系キャラで、パークは《天性の指導者(Natural Leader)》と《伝播者(Storyteller)》。大地と書いてアースと読ます日本人。

キバー(リビングランドのエディーノスのオプタント)
 プレイヤーはEtarnity出資者で、TORGオンリーコンでマスター経験有り。たいたい竹流君に次ぐTORG猛者。キャラクターは唯一アーキタイプを改造したもの。ちなみに、今回のエディーノスは、ラナーラ信徒でも原始的な服や道具を使用します。

マイラス(アイルのデュナド司祭)
 プレイヤーはサークル一番のウォーハンマーRPGマスター。キャラクターは、顔半面に祈りの言葉の、背中一面に聖印のタトゥーをしたおっさん。「俺はデュナド神の神罰体現者!」って、TORGウォーハンマーちゃうから。厳つい外見に反して、治癒と補助系奇跡で固めたサポートキャラ。

クーサリオン(アイルのエルフ・アーチャー)
 プレイヤーは、飄々としながらえげつないデータ運用に定評あるナイスガイ。キャラはエルフの弓使い。ちなみに、Etarnityのエルフは金髪碧眼になりました。

ジュダ(オーロシュのディアボリスト)
 プレイヤーはEtarnity出資者で、本セッションでは一番若手。キャラクターは悪魔崇拝者のヴィクトリア人貴族。もちろん、白人男性至上主義者。ダメダメなナイスガイ。



「え、技術レベル最高がコアアース? アタッカーはいないの? アタッカーいないと今回は辛いぜ」

 パーティバランスに言及する経験者たいたい竹流。Etarnityはパーティ連携がより重要になりました。まず、ポシビリティ能力者をプレイヤーズコールで倒すことができなくなったため、火力キャラが必要に。ダメージの出し方ですが、成功レベルによってボーナス・ダイス(D6)を追加する形に変更。ダメージ基本値に5以上の成功なら1個、10以上の成功なら2個、D6をロールします。出目が6なら、5としてカウントし、振り足し。6が出る以上、ダメージは増えますが、基本最大+2D6が限界。3D6以上ロールしようとすると、パークやらデスティニーカードなどが必要になるわけです。


 で、今回のパーティに火力キャラはちゃんといます。エルフとエディーノスです。Etarnityでは装備格差が相当緩和されました。エルフの持つコンポジット・ロングボウは拳銃程度の火力があるわけです。さらに、エルフ専用パークにより複数目標へ攻撃が得意。エディーノスは自分の爪で戦いますが、自己強化の奇跡を持っています。また、リビングランドの世界法則により特定条件で特攻した場合、ボーナス・ダイスが1個追加されます。単体アタッカーとしてリビングランド出身キャラは悪くない性能に。


 バランスが取れていないわけでもないし、この面子ならプレイヤー同士でなんとかやるという信頼があります。

 ということで、最後に性別確認。全員、男性とのことなので、サー・ロビンは女性キャラに確定。


 たいたい竹流君が、アース君と眼鏡っ子女子大生のセルフボケツッコミをしながら、導入パートは終了。ドォーン城で謎の閃光と共に、近代兵器が使用可能になったという情報が。神々しい光を見たという別の情報も。ドォーン城と言えば、「ホーリーグレイル」のロケ地としても有名。英国人の諧謔心がホーリーグレネードを生み出したかも? ハイロードに目を付けられる前に調査と、確保を何ちゃらかんちゃら〜

 で、ここで1名以外「ホーリーグレイル」を知らないことが発覚。

マイラス:モンティパイソンといえば、ランバージャックの歌だぁ


 ということで、文明の利器を使用してYouTubeホーリーグレネードのシーンを紹介。しかし、皆がえらく食いついたのは、殺人兎ちゃん。ウィザードリィのヴォーパル・バニーの元ネタです。

「うへへへ、ワンカットで殺されている」とか大喜び。

「マスター、絶対出してくる。ヴォーパル・バニー出す気満々や」

 ベタすぎて出す気はなかったのですが、プレイヤーの希望に沿って行くのがアドリブマスタリング。この時点で、ラスボスは兎ちゃんにすることに決定。


 そんなこんなでキャラ紹介と導入を済ませてセッション開始。まず、各PCにポシビリティのトークンを配ります。前述の通り、ポシビリティは幕間で初期値にリセット。特定のパークを取らない限り初期値は3。幕間で使い切りになったため、使いやすくなった半面、数が限られるので使い道の選択は吟味する必要が増した感じでいい変更だと思います。

 つづいて、デスティニーカードを配り、その後、コズムカードを1枚配ります。これはコズム毎のイベントをカード化したもので、貰ったらすぐ発生するもの、任意で使えるものなど様々。


GM「コズムカードでワンダリング・モンスター引いた人いる?」

クーサリオン「これ? え、え、ヴォーパル・バニー出すんですね!w」

GM「出さねぇよw」

 このカードはいきなり敵と戦闘が始まって、敵の強さに応じて1〜3ポシビリティ全員がもらえるという内容。PLの任意で使用できますが、どうせチュートリアル戦闘をやるので、これを使ってもらう形にしました。テンポよいセッション進行のため、こういうのもありだと思っています。


GM「森を馬車で進んでいると前方から女性の悲鳴が聞こえるよ」

 悲鳴の主は、(一応)ヒロイン枠NPCのロビン。周りを青白い肌をした人間の一団を取り囲んでいます。こいつらはラーク。アイルのショックトルーパーみたいな一般的な敵キャラです。

GM「鎧を着た女騎士の周りに、ラークが群がっているよ。そのボスはポシビリティ持ってそうだ。スタンダード・シーンの戦闘だぜ」


 ドラマデッキからカードを引いて、ラウンド進行。1ラウンド目は敵先行です。Etnitiyで戦闘バランスが大幅に見直されました。前述の通り、装備格差がかなりなくなりました。また、【耐久力】が【筋力】に統合され、ショックが【精神力】から算出されるようになりました。マッチョはダメージ軽減で、術者系はショックダメージの多さで凌ぐという形に。ポシビリティでのダメージ軽減は健在ですが、《リアリティ》判定が必要になりました。20以上の達成値でノーダメージも可能になりましたが、そもそもポシビリティを大量には持てることが少ない。ということで、どんな敵が出ても、旧版以上に脅威になるというバランスになったと思います。

 案の定、マイラスがラークにタコ殴りされ、1負傷を喰らいました。普通はここまでは酷くはないのですが、マイラスとジュダは防御の要となる【敏捷力】と【筋力】に最低値の5を割り振るピーキーなキャラメイクをしています。責められと弱い。

アース「Etnitiyになって、戦闘は速攻バランスになったで」

 マイラスたちのような極端なケースを除いてもダメージ軽減リソースが少なくなったので、やられる前にやるパターンが定番になった模様。

アース「雑魚の群れを掃討するのに、ファイヤーボールとかグレネードなんかの範囲攻撃も欲しいのよね〜」

 と言いつつ、自キャラは手榴弾など用意していません。そして、推奨行動を失敗するアース君。マイラスが奇跡で仲間を強化し、ジュダが魔法で敵を弱体化。


キバー「3体に攻撃。アタッカーは殴るだけになりがちなのね〜」

 ポシビリティで敵の攻撃を耐えつつ推奨行動をして手札の充実、大放出で大逆転という旧版のセオリーの重要度が下がりました。その分、1回の戦闘にかかる時間が短縮し、軽くなりました。

 クーサリオンの弓の複数目標攻撃も強く、雑魚の半分以上が倒されました。2ラウンド目には戦闘終了。ボスはポシビリティをダメージ軽減に使用しましたが、出目が振るわず轟沈。コズムカードの効果で全員の2ポシビリティを渡します。


 女騎士とその従者のおっさんを一行は助けます。お礼と自己紹介をする女騎士。ここで、キバーは彼女が恐怖のため若干失禁していたことに気づきます。

キバー「オマエのニオイ覚えた」

アース「おもらし系ヒロインかぁ、またニッチできつい性癖を〜w」


 念のため言いますと、マスターの趣向ちゃいますねん。勇敢なるサー・ロビンは、チキンなビビりキャラっていう元ネタの再現です。恐怖のため脱糞するパロディ・バージョンもありましたが、流石に失禁に留めた次第。で、彼女から北にキラキラするもののビジョンを夢でみたので、デュナド神のお告げと思い探求の旅にでたとのことを聞く一行。

アース「あかん娘や〜」


ジュダ「白人女性ですよね? なら、善しっ!」

マイラス「デュナド信者なんだろ? なら、問題なし。おい、嬢ちゃん。俺はデュナド司祭のマイラス、こいつがヴォーパル・トカゲ、ヴォーパル・アーチャー、ヴォーパル・ジェントルマンだw」

アース「こいつら〜w」


 で、マイラスがコズムカード「死体漁り!」を使用。これは、魔法財宝表からランダムでアイテムを得られるもの。アイルはダンジョン・ハックの傾向が強くなりました。オイントメント・オブ・インビジビリティという透明軟膏をゲッド。透明になることで高い防御効果が得られます。


マイラス「ヴォーパル・ジェントルマンが一番脆いな。これ渡すわ」


 一行はまずはロビンたちとドォーン城の近くにあるスターリングに向かうことに。スターリングはスコットランドの中心都市。アイルの影響で城塞都市に変化しています。ここでジュダがコズムカード「宮廷流陰謀」を使用。全PCが2ポシビリティ得るものの、悪評のため世間の印象が最悪になるもの。偉業などで払拭可能。

「おい、狂司祭だ……トカゲ男もいるぞ……おい、あれはお漏らし卿じゃないか!」


 これでマイラスが教会の異端児であることは確定。これでは弱いと思い、ロビンも白い目で見られてることに決定。へたれな妄想娘に加えて、親が金で爵位を買ったことにします。どんどん、駄目ヒロインに。


アース「でも、情報収集はしたいな。誰か領主に話を……って、俺か?w」

 狂司祭、悪魔崇拝者、野生のトカゲ人間、世俗に無関心なエルフ。交渉という発想に立てるPCは、アース君しかいない。高めの《交渉》とポシビリティのお陰で、領主からドォーン城の情報を入手。現在、城は無法者が占拠しており、山賊の頭は背中に悪魔のタトゥーをした蛮族戦士であることを。

ジュダ「悪魔! そいつにデスティニーカードの「仇敵(NEMESIS)」を使用します!」

 これは、敵のポシビリティ能力者に仇敵設定を付け、自分とそのNPCが3ポシビリティ得るという、シナリオを派手にする面白いカードです。

マスター「じゃ、ジュダはその男を知っているよ。三郎というパン・パシフィカのヤクザで、背中に仁王の入れ墨をしている。武術の達人で長ドスを振り回すよw」


ジュダ「想像と違った〜w」


 三郎は完全な悪役にせず、交渉次第で何とか対処できるコースも想定していましたが、仇敵にされたのでは戦闘は確定です。その後、一行は宿屋に。


マスター「宿屋の親父は、あんたらの寝床はここだと馬小屋を指すよ」

アース「ひっで〜 あ、カードの効果かw でも、アース君は部屋で寝たがるぞ」

クーサリオン「自分はここでいいですよ」

キバー「ひゃっほ〜 草〜 こいつもベッドで寝たら、矛盾判定だしぃw」

マイラス「馬小屋で寝るのは慣れている」


 部屋を希望するアースとジュダの願いを、ロビンがお金の力で叶えます。その後、ロビンが手紙を書いている場面をアースが目撃。書き言葉が貴族のものでないことを発見します。親が爵位を金で買った事実の前フリですが、アース君は誰にも相談できないことに気づきます。

アース「キバー、マイラス、クーサリオンは気にしない。この機微がわかるジュダは日本人の僕をバカにするに違いない。なんてこったw」


 そんなこんなで、街のシーンは終了。コズムカード一つでイベントの内容がかなり変えていく感じですかね。



 翌朝、ドォーン城に向かう一行。山賊の一団ということで、正面衝突は避けることに。見張りをクーサリオンの弓と、奇襲攻撃で無力化し、中に潜入を図ります。


キバー「奇襲はキバーがやるぜ! こいつは《カメレオン肌(Chameleon Skin)》のパークを持ってるんで〈隠れ身〉が得意判定だぜ!」

 得意判定とは1回目のダイスロールの出目が1でない限り、2度目を試みれるというルール。まさに適任。

キバー「ギャー、出目1! エディーノスのパークなんでリンクも切断。ガサっと茂みから出て、やあやあ我こそは嵐の騎士キバー!w」

一同「あかんって〜ww」


 出目1は「災厄」といって悪いことが起こります。ここはキバーがアイルの世界観に染まり、騎士道に沿った名乗りをあげることで勝手に演出。もちろん、OKです!

 出会え、出会えと40人ばかりの山賊どもが集合。そして、奥から神輿に乗った三郎が登場。

「頭、敵襲です、頭!」

「頭じゃねぇ、何度言ったらわかるんじゃい。わいは若頭や!」


ジュダ「間抜け面の山猿がいると思ったらお前か。アイルで何をしている?」

 仇敵演出をするもののすでに透明軟膏は塗り済みなんで、変な感じに。


三郎「あぁ〜ん、その声はどこぞのヘタレ貴族か? 何だまた手品でインチキしてんのか?」


アース「この数と正面衝突はまずい。「知人」カードを使用!」

 すると、山賊の中にそぐわない人物が。

日本人「ん、アース君じゃないか!?」


 旧知の日本人植物学者ですが、三郎の部下の三下たちと同じくアイルのリアリティに侵されています。

三郎「ほぅ、先生のお知り合いですか。でも、危険ですから下がってもらいます。おい、先生をお連れしろ」


 数人の手下に引きずられ学者が退場。モブの数が減ります。


三郎「マジックマッシュルームはわしらのシノギ。ここはわしらのシマじゃぁ!」


マイラス「何、ほざいとるんじゃ! アイルはデュナド神のシマじゃぁぁ!w」


 ということで、ドラマチックな戦闘開始。1ラウンド目にいきなり敵先行でかつ高揚が! 三郎が3名を巻き込んでドスを振り回す。「仇敵」のお陰でこちらもポシビリティが3増えているので、振り足しに使用。本作ではポシビリティの打消しには専用パークが必要になったため、打ち消される心配は余りなくなりました。

GM「ダイス目走って45」


 流石に致死レベルの攻撃。3人はポシビリティをダメージ打消しに使用(そして〈リアリティ〉判定にも)。「仇敵」はこのように仲間にとばっちりがかかることもあります。ご使用は計画的にw


 残りのモブの攻撃もポシビリティで耐えます。コズムカードで稼いでいたので、多少の無理はできる感じ。


ジュダ「敵に呪文使いはいませんね? コズムカードの「溢れ出すマナ」を使用。3ラウンドの間、魔法技能が得意判定になります。で、オーロシュの《悪魔魔術(Diabolist)》のパークを使用。これで魔法技能に+5。アイルの世界法則で3ショック受けて、魔法判定に+3!」


 えげつないボーナスを乗せて放った呪文はディミッシュ。三郎たちが耐えれるハズもなく、【敏捷力】に−4のペナルティが! こうなれば、攻撃も通りやすくなります。その上、マイラスの強化奇跡も飛びます。

 次ラウンド、敵が先行ですがペナルティのお陰で攻撃が冴えずに終了。後攻で、アースが三郎に〈間合い〉を試みて、目標値を10上回りプレイヤーズコールに。敵に「隙」(こちらの判定に+2)か「不利」(相手の判定に−2)を与えることが2回でき、さらに敵の次の手番は無効に。

アース「隙隙で、大スキ!w」

 現在、敵の【敏捷力】−4に加えて+4ボーナス。キバーがえげつない攻撃を放ちますが、三郎はポシビリティをぶち込んでダメージ無効化。

ジュダ「フフフ、実は拳銃持ってるんですよ。死にたまえ! あ、20出たw」


 【敏捷力】5でもこれなら当たります。ポシビリティやらカードを使用して、何と「偉業」達成です。


マスター「あっ、はい。子供に転がらされてもんどりうった半裸のヤクザを、透明化したヴィクトリア紳士が眉間に拳銃突きつけて倒すという、実に希望に満ちた英雄的行為ですw」

一同「わ〜〜w」

 また、60以上のロールが達成されたので、アイルの世界法則によりジュダの手袋が〈銃器戦闘〉に+1ボーナスを与える魔法のアイテムになります。

アース「キャンペーンするなら、アイルから初めて魔法のアイテムを充実させるのがいいよな。矛盾は起こるけどw」

 三郎を倒すと、子分は降伏します。植物学者から地下で麻薬になるキノコの採取を試みていたらしいことが判明します。実際は麻薬密売などだったんでしょうが、リアリティ・ウォッシュでアイル風に変化した模様。


 さらにアースが情報収集のダイス目が走り、この城の洞窟は地下世界につながっており、キノコ採取に行った者が数人戻ってこないこと。帰還者からは大きな人影を見たなどの目撃証言があること。また、最近、森で巨大なモグラと大きな穴を目にした話を聞きます。


アース「あ〜、Etnitiyになって狭間の地が各地と融合しちゃってて、どこでもダンジョンになってるんやよね〜」

キバー「巨大モグラって、やっぱりアレか? あのマシンなのか?」


 憶測が飛び交う所で1幕目終了。


アース「残党たちに《伝播者(Storyteller)》を使用するぜ」


 これは偉業を伝播して特別なポシビリティ・プールを得るパーク。しかし、どんな伝説やねんw


 ということで、2幕目開始。次は地下ダンジョン攻略。ポシビリティがリセットされ、コズムカードを配ります。


ジュダ「あ、「宮廷風恋愛術」!」


 これは、アイル風ロマンスカード。歌や詩で告白するもので、必ずしも恋仲になれるわけじゃありません。しかし、「ロマンス」より手にしやすいのがミソです。


ジュダ「う〜ん、ロビンはなぁ、でも、もっとましなヒロイン出るとも限らないしなぁ。地下だしオークのヒロインとか出そうだし。あっ、ロビンの従者って実は美女だったりします?」


 こういう目ざとい提案は、プレイヤースキルの1つでしょう。しかし、すでにおっさんであることは口にしていたので却下に。


ジュダ「う〜ん、保留」



 で、一行は地下洞窟に。ここはドラマチックな行動解決で進めることに。手順Aで道順を探ります。〈発見〉を1人成功すればOK。手順Bは地底湖の水泳。【敏捷力】判定で全員の成功が必要。手順Cは崖下り。こちらも【筋力】判定で全員。

 手順Aは難なく成功。BとCはジュダとマイラスはかなりきつめ。序盤でポシビリティを使う羽目に。更に別の意図的ハプニングが。

クーサリオン「この「罠だ!」のコズムカードを使います」

 これはパーティの任意の対象にデストラップが発動するという酷い内容。その威力はボーナス・ダイスの出目に等しい負傷。結果は3でアースに発動。

アース「うぉぉ?w」

 負傷を消すのに2ポシビリティ消費。その後、カードの効果で3ポシビリティ獲得。なかなかハイリスクのカードなのでご利用は計画的にw


 ここで、ジュダが急にロビンに愛の歌を。「宮廷風恋愛術」を使用し、2ポシビリティゲット。愛より何よりポシビリティが欲しいw



 消耗しつつもこの行動解決クリア。一幕目と比べてポシビリティが溜まっていないけど、アースのプールがある分、まし。2シーン目は二首巨人との戦闘。スタンダード・シーンです。


マスター「君らが息をついていると、キバーが目ざとく何かの接近に気づくぞ。3メートルほどの人影、双頭の巨人だ」

クーサリオン「三下の話にあった巨人だな」


 敵はポシビリティ能力者ではないものの、トリケラトプスのデータの改造したヘビー級。高い攻撃力と防御力を誇ります。ここで、クーサリオン出目が腐りだし、有効打を稼げません。しかし、精神系は低いことを見抜いたジュダがスタンの呪文で行動を無効化。キバーの大きな一撃が決まり倒します。

 しかしながら、パーティのリソースはそれなりに消耗した感じ。

アース「あぁ、手札補充で「ロマンス」来ちゃった、この後にまともなヒロイン登場するのか?」


 はい、出します。王伯爵を少女に変更決定。で、クライマックスに突入。

 洞窟の奥に進むと灯りが見えます。そこにはなぜか近代的なテントが。そして、そこで何やら作業をしているエジプト風被り物をした半裸の男ども。

アース「やっぱり、ナイル帝国か〜」


マスター「すると、君たちはスポットライトに照らされるよ。そして、高いところからお団子頭でチャイナドレスのインチキ中華系少女が高笑いしながら現れるよ。「キャハハハ、飛んで火にいるヒーローたちめ! お宝はこの王伯爵様も物アルヨ!」なんか勘違いしているみたい」


 ここで、カウント・ワンのネタが通じていないので、ネタばれ。ネタを外したこと自体、ネタにする所存。

アース「あ〜、3、2、1ってなってたんか〜」



 ナイル帝国軍団と一戦交えるかとなった矢先、後方で悲鳴があがる。白い疾風の後に倒れるショックトルーパー。「アイヤー」悲鳴をあげて倒れる少女。ラスボスのヴォーパル・バニーの登場だ。

マスター「ということで、ラスボスとのドラマチック戦闘だよ」


キバー「……「ロマンス」、バニー使った方がおもろくね? こいつはコミューン・ウィズ・アニマルズの奇跡を持っている!」

一同「そ・れ・だ!w」

マイラス「おいおい、ヴォーパル・カップルの爆誕かぁ!w」

ジュダ「兎は万年発情期、いけます!w」

 こういう想定外のアイディアがでるのがTPRGの面白い所。笑いを取ってなんぼ、面白いはジャスティス。もちろん、採用して、ラストバトルをドラマチックな行動解決に変更。これに失敗したらボスとの戦闘続行ということにします。リスクは高いけどPLたちはやる気満々。

 手順Aはキバーがコミューン・ウィズ・アニマルズを発動。他のPCは〈信教〉を推奨行動とします。これは難なくクリアし、手札を充実させます。

 手順Bは防御専念。バニーの攻撃を受けつつ、「大丈夫、こわくない」をします。全員成功が必要で、失敗毎に1負傷を得ます。ここはポシビリティをぶっこんで全員成功。順調です。

 次は手順Cですが、ここにきてドラマカード「C」がなし。防御専念を推奨行動とします。4ラウンド目も「C」なし。ドラチックな行動解決が5ラウンドとルールで定められました。次がラスト。しかし、また「C」なし。「イニシアチブ掌握」もなし。

アース「まだやれる、「起死回生の努力」がEtnitiyにも健在やで!」


 難易度を上げて残りを無理やりクリアするルールです。手順Cはキバーの〈説得〉判定。手札は充実しているものの難易度は相当高め。

マスター「他のPCが同じ難易度の〈説得〉判定に成功するごとに+2ボーナスあげるよ」

アース「あかん、アース君でもダイス走らんと無理やわ」

クーサリオン「あ、20w」


 ここで、クーサリオンが手持ちの「ヒーロー」などを使用していいかの確認。キバーの分があることが確認できたので、「偉業」を狙います。そして、「偉業」達成。エディーノスとヴォーパル・バニーの縁結びをする伝説の仲人エルフ。実に希望に溢れた伝説です。そしてアイルの世界法則でエルフのマントが〈説得〉+1の魔法のアイテムに。


キバー「おいらも「偉業」やったら〜」

 ポシビリティ、カードを投入するも、そこまで出目が伸びず。しかし、ドラマチックな行動解決は成功!

 どんな荒野にでも、愛の花咲くそれがTORG Etnity。二人のけだものフレンズがどったんばったん大暴れ。

キバー「うぉ〜、この痛み〜 ララーナ様に捧げますぅぅww」

 格闘の末、すっきりした顔でキバーが戻ってきます。その首にはバニーの牙が刺さったままです。


マイラス「甘噛みだぁw」


マスター「命って素晴らしいって、うっとりした表情でロビンがジュダに寄りかかってくるよ」


ジュダ「う〜ん、Etnitiyって「キャンペーン」なくなったので、全部行きずりの恋になるんですよねw」


 恋人は回転寿司だよ、それがTORG Etnity。


 バニーに女子力で負けたエセ中華少女などを拘束してから、ホーリーグレネードを探します。

マスター「ドリル戦車の中に、それっぽのが保管されているよ。しかし、ホーリーグレネードを模した安っぽいエンブレムだ。どうやら、エタニティシャードじゃなくて護符みたいだね」

アース「コアアースの護符? そりゃ、強いや」

マスター「どうも英国内限定っぽい感じ?w」

アース「おぅ、しかし、それっぽいw」


 こうして、ミッションクリア。PL達はPCの成長ルールを確認しだします。


キバー「リビングランドにサーベルタイガーをお供にできるパークあるから、これを流用してバニー連れていこうかな?」



 旧版同様、一度遊ぶと次のセッションを遊びたくなる魅力があります。


 ネタ優先の身内セッションですが、参考になるところはありましたでしょうか?


 システムや世界観の紹介は冬コミの「トーグ・エタニティ・ガイドブック」にもっと詳しく書かれていますよ。残り数冊しかないとのことだけど、まだ入手は可能です。


 ずっと進展がなかった「トーグ リヴァイスド エディション」も2月に無事発売されそうな感じです。

 D&D5版に続いて、TORGも盛り上がるかな! ってか、盛り上がれ〜