濁世を生き延びろ! 新作ウォーハンマー4版!

 ご無沙汰です。康次郎です。

 今回はウォーハンマー4版です。発売元は cubicle7 。D&D5版の指輪物語モジュールなどを出している会社ですぜ!

http://cubicle7.co.uk/our-games/warhammer-fantasy-roleplay/

 とりあえず、ざくっとポイントだけ訳して遊んでみました。

 感触で言えば、今風になった初版。初版がイギリスで発売されたのが1985年。30年以上も昔になります。このころは、ウォーハンマーのミニチュアゲームも世界観が固まっていなかった時期。TRPG用に泥臭くてリアルかつパンクな中世ファンタジー世界が作られたのと思います。その後、ウォーハンマーのミニチュアゲームは、ヨーロッパやアメリカで大ブームになり、世界観が固まっていきます。
 2005年に出された第2版は、システム的には初版を当時大人気だったD20システム風に再構築したものと思っています。世界観は初版とミニチュアゲームの折衷という感じ。ミニチュアのヒーロー達ととは異なる、一般人の物語という形で区分したのですね。
 2009年のFFG社から出された3版は未調整の失敗作だっと思っています。クリスマス商戦に出された大作。しかし、コンテンツ(カード等)を売りたいという経営戦略のもと、別々のアイディアを混ぜ合わせ、不完全のままウォーハンマーの看板で発売させたと印象です。まあ、年末や決算期で発売されるキャラゲーと似た流れですかね。3版のシステム部分は、洗練されてスターウォーズTRPGで活用されています。ウォーハンマーの世界観に併せて作られたシステムではないのでしょう。
 そんな流れでの4版です。最初、2版のバージョンアップ版のような印象を受けていましたが、それよりも初版リスペクトを強く感じます。D&Dも5版で初版寄りになりましたよね。初版を遊んでいた世代が、企業で決定権を持つようになったのが影響なんでしょうかね?


 ま、システムの内容をざくっと紹介します。基本能力値は10種類。2版と比較すると、敏捷力からDexterity(器用度)、知力からInitiative(反応)が独立しています。これらの能力値は初版にあったものです。能力値的な種族バランスでは、エルフが凄く強化されました。人間に劣る部分がない感じは、これも初版を彷彿させます。ただ、バランスは別のところでとっています。ご存知、運命点。そして、Resilience(執念点)。後者は4版から追加された、ヒーローポイントで永久消費するとダイスロールで成功を変えたり、失敗した混沌変異ルールを無視できたりします。己の意志で現実を捻じ曲げる力ですね。運命点に対する幸運点のように、執念点と同数のResolve(信念点)が与えられます。これはクリティカルや恐怖などの不利な状況を1ラウンド無効化するものです。これは、PCの生き様に沿ったロールプレイをすれば、GM裁量で回復します。例えば、鞭打苦行者がシグマー神への狂信をアピールするとかですね。運命点と執念点はランダム決定ではなく、種族で定められた初期値にボーナス値を配分して決定します。人間は運命点2、執念点1にボーナスの3点を割り振り。エルフは運命点および執念点の初期値は0、ボーナス2なので、1点ずつ割り振るしかないよねって形です。エルフは能力値が高くとも、打破力、リカバリー能力に欠けるわけですよ!

 キャリアは64種類。初版にあったアカデミックやレンジャーなどの区分が復活。また、上級キャリアの概念が変わって、各キャリアにキャリア・パスができました。例えば、騎士は、従者→騎士→名だたる騎士→内陣騎士のようにキャリアアップしていきます。ちなみに初版から復活した物乞いですが、Pauper(貧困者)→Begger(物乞い)→Master Begger(達人乞食)→Begger King(物乞い王)ってな感じ。もちろん、キャリアアップ以外に転職するのも可能ですぜ!


 種族、キャリア、能力値はランダムで決定しますが、初期経験点を諦めることで、好きなのを選べたり、能力値ならポイントバイできたりします。


 技能ですが、一般技能は全キャラ、能力値でロール可能になりました。また、平均的なテストの難易度が(+20)に変更。だれも何も見つけれない、だれも交渉できないなどがなくなり、初期キャラでも人間なら大体5割で成功するようになりました。これは失敗によるセッションの停滞を排除しようとう試みなんでしょう。この考え方は後述の戦闘にも表れています。
 「近接攻撃(基本)」、「肉体抵抗」、「動じなさ」も初期技能に含まれるようになりました。これらは、2版では【武】、【頑】、【意】と能力値で判定していた部分です。4版では技能は個々にパーセンテージを成長できるようになりました。なので、ここら辺も比較的伸ばしやすいのです。ダガーや片手武器などの基本武器を扱う「近接攻撃(基本)」は、ハーフリング以外の種族選択技能になっています(哀れハーフリング!)。種族初期成長で+5、キャリアでも伸ばせるならさらに+10アップできます。ちなみに、「遠隔攻撃」は上級技能になりました。持っていなければ試みることができません。
 異能については、同じ異能を複数回習得して強化できるようになりました。「強打」を3回習得できれば、ダメージ+3等です。複数回数習得の制限は異能ごとに決められており、「強打」なら【筋】ボーナスに等しい回数になります。
 後、面白いと思ったのが人間の種族異能のDoomed(運命付け)。10歳の誕生日にモール司祭が占いを行う風習があり、それを「運命付け」といいます。『信仰の書』に記載のある奴ですね。この、神託どおりの最期、「厠で惨たらしく一人で死ぬ」などを達成できたら、次のPCに経験点の半分を引き継げるというものです。これは、雰囲気溢れていていいっすよね!

 ここまで読んで何かイージーな世界になったと思いましたか? もちろん、そんなことはありません。ある意味より過酷になったと思います。

 重要な判定には、対抗ロールが使われます。成功レベルを比べて、勝者を決めるものですね。
 そして、戦闘における命中判定とダメージはこの対抗ロールで判定することになりました! こちらの命中率は53、出目が36で成功レベル2。相手の成功レベルは-1なので、3差の成功。ダメージは基本値+3で算出って流れです。
 恐ろしいのは、双方失敗でも成功レベルの差で勝者が決まるため、ダメージが発生することです。2版のように3割程度の命中で双方はずしまくるということはなくなりました。
 また、ゾロの成功でクリティカル。失敗でファンブルが発生します。クリティカルは、問答無用でクリティカル表をロール。クリティカル効果、顔面がぐちゃぐちゃになったり、指が数本切断されたりとよりえぐい感じなりました。ファンブルは、初版でもあったOops! Table(おっとっと表)でアクシデント内容を決定です。
 2版のようにハーフリングパンチでも、ダメージダイスで10が出続ける限りグレーターディーモンを倒せるという浪漫はなくなりました。ダイス目の影響がよりダイレクトになり、ある意味よりデンジャーに。
 そして、この流れを加速するのが初版にもあったAdvantage(優位)ルール。自分がダメージを受けず、攻撃を成功させている限り、+10のボーナスが加算され続けていくものです。今回、スクウェア戦闘ではなく、エンゲージ制の抽象戦闘になりましたが、人数差のボーナスは健在で、3倍差以上で+40! 戦闘は一方的になる傾向が非常に高くなったと思います。
 タコ殴りが強いかというと、遠隔攻撃の方もえげつないと思います。今回、射線ルールがなくなった模様なので、ある意味、一方的に攻撃し放題。しかし、強力すぎるからか上級技能になり、遠隔攻撃可能なキャリアもごく少数になりました。狩人は弓の技能を持っていますが、弓自体を持っていないなどです。

 まあ、初期キャラの戦闘バランスですが、自分がマスターした際はPCの圧勝。しかし、ダイス目によってはPCたちの優勢も崩れることがあったでしょう。

 戦闘バランスについては、プレイ経験が足らずよく判っていません。


 ただ、2版では戦闘に軸足を置いた遊び方をしていましたが、4版は世界観、物語に軸足を置いたものにシフトしているという印象も受けました。
 2版では戦闘職とそれ以外の戦闘能力は初期ではそれほどなかったため、ネズミ捕りでも戦士として運用することが可能でした。4版では、ネズミ捕りはネズミ捕りらしい運用で遊べということかな?


 4版はどういう遊び方を提示するかは、今後発売される公式シナリオで確認していきたいと思います。

 なんにせよ350ページオーバーの大作の新作ウォーハンマー! じっくり遊んでいきたいと思います!