TRPGと携帯ゲーム機

 まず一句「オウマイガッ 切った尻尾は 岩の中

 もう一句「加齢臭 猫がくれたよ 消臭玉


 え〜、ネタの判らない方すみません。今年になって遅ればせながらPSPの『モンスターハンターポータルブル 2ndG』を始め、はまっております。


 友人がプレイしているのを見て楽しそうだったことと、型落ちのPSPを格安で入手できたので、始めたのですが、ゲーム大賞取るだけあってやっぱり面白いです。


 モンスターを倒して、その皮や骨などから武器と鎧を作成するという繰り返しなのですが、そのシンプルさが逆に良いですね。アクション要素が強いのですが、親父ゲーマーの自分にも、歯が立たなかった敵も学習によって倒せるようになるバランスの良さ。装備によってグラフィックを変えることでコレクター心をくすぐったり、タイムアタックや称号などやり込み要素が満載です。1回の狩りに30分もかからないのもよいですね。


 一番感心したのは、ネットワーク機能を使った通信プレイです。これは、近くにいるプレイヤー最大3名と一緒にプレイできるというもので、ネットを介さずPSP本体のみで可能なお手軽なものです。オンラインゲームでは、ラグといって動きがずれたり、遅れたりする現象がありますが、このMHP2ndGではそのようなことはありませんでした。


 小さいゲーム画面でゲームをプレイする気はあまり起きなかったので、携帯ゲーム機を手に取ることはなかったのですが、これは将来性が凄くあるんじゃないかと感じました。


 インターネットとは異なり、皆の声が届いて顔が見える距離でプレイする(まあ、実際はPSPの画面を見ているわけですが)という所がよいですね。これが案外重要なファクターじゃないかと思います。麻雀などのゲームもオンラインでできますが、リアルで顔色や声色から裏を読みながらやる方が楽しいですね? また、ボードゲームなどは、皆が集まって楽しむという行為自体にも価値があると思います。年齢の異なる者同士でも、ゲームを通じて共通の話題を持ち友達になれる。そういう場ってすごく重要ですね。これって、PSPで多くは代用できそうですね。



 一番感じたのは、PSPの通信機能でTRPGの楽しみをお手軽に再現できるのではないのかということです。


 自分は和製TRPGの黄金時代の90年代初頭に、TRPGを始めました。あの頃は、インターネットも携帯電話も普及していなかったです。何年か経ちオンラインRPGが普及し始めたころ、TPRGに「皆で遊ぶコンシュマーPRG」としての楽しみを求めていたプレイヤーは、あちらに流れる人も多いんじゃないかと思いました。


 でも、TRPGには、とりわけ特定のサークルでプレイする場合は、同好の士とリアルで友達になるという楽しみもあります。これなんですが、MHP2ndGにもゲームコンベンションのような集まりがあるそうです。知らないだけで、リアルで集まってプレイするサークルもあるかもしれません。


 皆でランダムダンジョンに潜って、キャラクターを成長させるという楽しさは、そのようなソフトがあれば、よりお手軽に再現できるかと思います。フロアシートやフィギャを使ってダンジョンを視覚化しても、プロが作成したCGの迫力には歩が悪いと思います(個人的にはメタルフィギャみたいな造形物は大好きで、100個はゆうに持っていますが)。なにより、マスターいりませんし。


 TRPGの方が自由度が高いのですが、選択肢の多さは選択の困難さにつながります。そもそも、そんなに自由度が必要なのかという話もあります。TRPGでは「あばた顔の禿親父」も「二重あごで三段腹のおばちゃん」も自キャラにできますが、そこまでの自由度が必要なプレイヤーは少数じゃないかなと。


 TRPGに主にダンジョンハック・ボードゲーム的な楽しみを求めているプレイヤーにとって、より面白いと感じる携帯ゲームソフトが出現するという事態が、そのうち来るのかもしれません。


 ただ、もちろんTRPGには、ロールプレイとかストーリーテイリングとか別の楽しみもあります。何より創造的な楽しみと、仲間内でそれを共有できるというのが大きいと思います。別にマスターだけのことではなく、気の利いた台詞を思いつき、プレイを盛り上げさせるということなどもそうだと思います。皆に認められることは、次の創造への意欲につながります。


 しかし、これもネットの登場などでTRPGだけの専売特許とは言えないような気もします。TRPGを自分の創作の発表の場と捉え、皆からフィードバックを求めているプレイヤーは、「ニコニコ動画」などにそれ以上の楽しさを見出すかもしれません。例えば、「PRGツクール」で自作ゲームを作り、プレイ動画を公開することで、様々な人からコメントをもらうなどです。以前、サークルの友人が「TRPGの競合相手は、ニコニコ動画2ちゃんねる」と話してくれたのですが、的を射ていると思います。


 TRPGが将来的に存続するためには、TRPGならではの楽しみをより理解し、深めていかないといけないと思います。しかし、娯楽小説は、マンガやアニメの登場によって駆逐されていませんね。小説でしか表現できないことを深めて生き残りを図るというよりは、逆にマンガ的要素を取り入れたライトノベルなどが売れています。TRPGも、携帯ゲーム機を画期的な補助ツールとして使う日が来るかもしれません。


 TRPGが将来どのように展開していくのか、興味はつきませんね。