『Career Compendium』レビュー

 今回は『ウォーハンマーRPG』の最新サプリメント『Career Compendium』、通称『キャリア本』の紹介です。これの発売当初は日本のAmazonに在庫がなくて、米国の方で購入しましたが、現時点では日本のでも買えるみたいですね。


Career Compendium: A Collection of Character Careers & Advances (Warhammer Fantasy Roleplay)

Career Compendium: A Collection of Character Careers & Advances (Warhammer Fantasy Roleplay)


 ソフトカバーのモノクロ256ページで、多分この形状で最大限のページ数だと思います。表紙はスレイヤーと魔狩人、ネズミ捕りで、もっとも人気のあるキャリアだからだそうです。魔狩人は何と女性で、タフガイっていうか、別の意味で魔女っていうか、朝ご飯に子猫の生血でもすすっていそうな感じがよいですよね。


 内容は、基本ルールとサプリメントに登場したキャリアのまとめ本です。

 構成は、Introduction(序章)とCareers(キャリア)、Appendices(付録)と極めてシンプル。『キャリア』の章では、キャリア毎に1ページ割いて、220種類以上の公式キャリアを掲載しています。ただし、PC用のキャリアに限られ、クリーチャー・キャリア(『ネズミ本』のスケイブン・キャリアや『ヴァンパイア本』のヴァンパイア・キャリアも含まれます)や、“混沌の騎士”や“コーン教導師”などの生粋の混沌キャリアは省かれています。

 キャリアの紹介のページでは、上段に「台詞」と「データ」、「イラスト」が載っています。イラストは、それが無かった追加キャリアにもちゃんと新規イラストがあります。つまり、屎尿集積人”の勇姿も拝めるってわけですぜぇ、旦那! 下段は、キャリアによってばらつきはありますが、「日常生活」や「著名人」、「組織の設定」などが紹介されており、必ずシナリオ・フックがついています。

 そして、ただのまとめ本だけではなく、新キャリアが8つ追加されています。それらを以下に紹介します。例によって訳語は、私が勝手につけたもので正式なものではありません。

Animal Trainer(調教師):上級キャリアです。乗用馬や軍馬を育てるのが、主な仕事だそうです。もちろん、見世物小屋の動物調教などをやる者もいます。

Cartographer(地図職人):基本キャリアです。“書記”と比べるとアウトドア派ですね。

Dilettante(好事家):基本キャリアです。別のゲームを思い出しますねぇw

Ex-Convict(元入獄者):基本キャリアです。選択ルールとして、脱獄者になることも可能です。

Farmer(農夫):基本キャリアです。“小作農”とは異なり、領主から土地を買い取った自営農です。村長とか村の顔役とかは、このキャリアが適しているかもしれません。

Lay Priest(平聖職者):上級キャリアです。『救済の書』では、魔法を使用しない“司祭”の選択ルールがありますが、これはそれをキャリアにしたもののようです。

Prelate(上位聖職者):上級キャリアです。Lay Priestの上位版で、“為政者”の聖職者版みたいな感じです。

Rapscallion(無頼漢):上級キャリアです。上等な服で着飾り、盗みを働くかもしれないし、決闘をするかもしれないし、学があるかもしれない。そんな、お洒落なやくざ者です。ちなみにRapscallionの訳語は難しいですね。“無頼漢”じゃ雅な感じが足りないような気もするし、“渡世人”とかも違うような気もするし。


 「付録」の方も力が入っています。目玉は、d1000で決定する『完全版初期キャリア決定表』! 後、旧版のように「学術系」や「戦士系」、「犯罪系」など、系統毎の初期キャリア決定表もあり、バランス取りには便利ですね。更にエンパイアや北方などの「地域別」、都会や沿岸などの「環境別」の初期キャリア表も追加されています。


 買い損ねたサプリメントもあるので、キャリアデータをこういう形で網羅してくれるのは嬉しいですね。キャラクターを転職させる際には、追加キャリアも転職先に載っているので、特に重宝すると思います。

 ただ、気がかりはFantasy Flight Game社のウェブサイトにこれ以降のラインナップが掲載されていないことです。まとめ本が最後のサプリメントになるというのは、勘弁して欲しいな。ウッドエルフとかフォローされていない部分のサプリメントも、是非出して欲しいものです。