D&D4版 『失われし王冠を求めて』の紹介

 今回は翻訳のお手伝いをさせていただいた『ダンジョンズ&ドラゴンズ4版』のシナリオ『失われし王冠を求めて』の紹介です。


内容紹介

遠い昔に行方知れずとなった伝説の王冠にしてアーティファクト、アッシュン・クラウン――分割可能なその王冠にはモルグレイヴ大学、キングズ・シタデルらがただならぬ関心を示しているばかりか、より悪辣な諸組織も虎視眈々と狙っている。王冠の一部が“塔の街”シャーンの地下で見つかったことが、残り4つの部分の獲得競争を引き起こした。バラバラになった王冠を完全な状態に戻してその魔力をものにせんと、正邪双方の諸勢力がいまや血眼になり、策謀や裏切りを繰り広げている。
『失われし王冠を求めて』のアドベンチャーを経験することで、キャラクターたちは2レベルから5レベルへと成長する。このアドベンチャーエベロン世界を背景設定としているが、D&D世界設定のどれにでも容易に移し替えることができる。このパッケージには96ページフルカラーのアドベンチャー・ブックと、『D&Dミニチュア』を使って遊べる両面バトルマップ1枚が入っている。


 紹介のとおり『失われし王冠を求めて』は、剣と魔法科学の背景世界エベロンを舞台にしたシナリオです。

 摩天楼の如くそびえ立つ塔の街シャーンから物語はスタートします。下層街でモンスターに襲われる貧民が増えているので、PCたちは虫型モンスター退治を依頼されます。依頼主は、ウォーフォージド(戦争のために作られたロボ人間)を酷使することで悪名高い工場の責任者。工員にも被害が出ているのにこのいけすかないドワーフは事件解決には及び腰だったのですが、下層街の司祭が貧民救済のために資金援助してくれるので乗り気になったという設定。この司祭がホブゴブリンってのが、実にエベロンらしいです。

 エベロンの世界設定は、ファンタジー要素を解体してSFチックに仕上げ直したって感じですね。官僚体制とか、企業の横暴とか現代的な題材を、このように難なく活かせる所も魅力です。また冒険の舞台も、シャーンだけでなくモンスター種族が治める都市とか個性的なものが用意され、エベロンの世界の独特さを味わえるものになっています。

 しかし、内容紹介にあるように他のワールドで行なっても充分楽しめるような作りになっています。各遭遇には様々な仕掛けがあって、メリハリがついており、ダンジョンあり、野外戦闘ありです。戦闘自体も歯ごたえのあるものになっていますよ。現在、自分がDMでサークルの仲間とセッションをしており3分1ほど進みましたが、全滅はしないものの緊迫した戦闘が続いております。



 後、本作の特徴と言えば、『シャドウフェル城の影』などHシリーズのシナリオと比べてNPCとの絡みが多い所もあげられます。アーティファクトをめぐる各陣営の争いの巻き込まれるっていうストーリーですしね。


 それと、詳しいことは書きませんが、本作には何とヒロインがいるんですよ! 吟遊詩人の女隊長で、最初「貴様らなどの手出しは無用」とツンツンしていますが、後には「あなたたちを誤解していた……」みたいにデレる正にツンデレキャラ。後、このキャラには正にアメリカンって感じの属性もついていますので、興味のある方は作品を手にとって下さいね。