『ドラゴン・マガジン年鑑』の紹介
今回は翻訳のお手伝いをさせていただいたD&D4版の『ドラゴン・マガジン年鑑』の紹介です。
ドラゴン・マガジン年鑑 (ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版サプリメント)
- 作者: トーラーコットリル,ミランダホーナー,クリスヤングス,待兼 音二郎,楯野 恒雪,阿利浜秀明,岡和田 晃,鈴木 康次郎,見田 航介
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2010/06/04
- メディア: 大型本
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ホビージャパンのウェブサイトにもプレビューが載っています。
http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/news/dramg/
『ドラゴン・マガジン年鑑』の話をするには、D&D Insiderの話をしないといけません。これはウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のオンライン・サービスで、『Dragon』誌と『Dungeon』誌というD&Dの月間サポート誌がここでダウンロード販売されるようになったのですね。
ダウンロード販売といっても1カ月の料金は千円程度で、バックナンバーも含めてダウンロード可能なのですね。両誌共に100ページ近くもあります。これが千円というのはかなり破格なのです。
『Dragon』誌にはコアルールでは詳しく説明のなかった神格の情報や、新特技、新パワーなどのデータ、ハウツー記事などが載っています。『Dungeon』誌はDM向けで主にシナリオが載っています。これらの記事は、募集で集めたものですが、その多くはプロのライターが書いています。はっきりいって、出版ベース以外のこの情報の提供量はすごいですね。毎週2回セッションしたって、シナリオを消化できないでしょうね。
こんなことはウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の規模で、D&Dというビッグタイトルでしかできず、たぶんにそれを自覚してやっているのだと思います。プレイヤーの囲い込みなどはもちろん、TRPGライターの食と育成のためという目的もあるかもしれません。
このD&D Insiderなのですが、当然のごとく英語のみなのですね。しかし、『Dragon』誌の選集がでたので、これが翻訳されることになったという次第です。
『Dragon』誌はプレイヤー向けの内容が多いのですが、この選集ではDM向けも含めて色々なベクトルの記事がつまっていますね。
簡単に紹介しますと、以下の通りです。
プレイヤー向け
・『星に願いを』:星の契約のウォーロックの追加データ。
・『次元界を究めし者』:次元界と結びついた新神話の運命。アーチデヴィルとか冬の妖精王とか。
・『シャダーカイの導入』:PC用シャダーカイのデータと設定。
・『殺しの技』:殺し屋関連の特技などのデータ。
プレイヤーとDM向け
・『さあ戦え! 剣闘士たちよ』、『我ら死地に踏み入る者たち……D&Dの剣闘士』:闘技場キャンペーンのための解説と、剣闘士PCのためのデータ。
・『知性あるアイテム:賢しき剣』:喋る槍とかそういう設定集。
・『ダンピール・キャラクターの導入』:ダンピールのデータ。PCとしても使用可能。
DM向け
・『イグウィルヴのデモノミコン:イーノグフ』:ノールのデーモン・ロード、イーノグフの4版用設定。ネラス帝国滅亡の原因も言及されてます。
・『クリーチャーの肉付け:コボルド』:コボルドの追加設定。
・『死灰同盟』:オルクスのカルトの設定。
・『フェイワイルドの城塞都市、ミスレンダイン』:エラドリンの都市の設定。
・『ブラッドゴースト一家』:バグベアのマフィア団の設定。
・『いちばん長い夜』:伝説級のシナリオプロット。マップ以外はかなり網羅されています。
以上、バラエティに富んだ内容です。プレイヤーでもDMでも、興味深い記事があると思いますよ。
ただ、注意点が1つあります。3.5版の『Dragon』誌もそうでしたが、編集チェックが甘いのか、そういう方針か判りませんが、パワーバランスは強めのものが多めになっています。
特に『星に願いを』は要注意。例のコーデル大先生の記事になります。大先生、コラムに「自キャラのデータを作れるのが、ライターの役得なんじゃ! むっは〜〜!!」みたいなことを仰っておられます。コーデル大先生の「ぼくのかんがえたかっこいいウォーロック」みたいなデータが目白押しなので、本当に注意してくださいネ。