D&D4版の初心者向けセッションについて

 今回はD&D4版の初心者向けセッションについての話です。


 自分は大学のTRPGサークルのOBとしてそのサークルに所属しています。毎年4月にはある程度コンスタントに新入生が参加してくれて、その中にはTRPG初心者の方も少なくありません。


 自分がDMをする初心者向けセッションにこのような初心者の方に参加してもらえる機会がたびたびありました。


 これらの経験から得た初心者向けセッションのハウツーを紹介します。ただ、あくまで自分なりのものであり、機会があったと言っても数十回の話ですのである程度割り引いて下さい。



 ハウツーのキーポイントは以下の3つになります。


1.判りやすい出来合いキャラを作る

2.3〜5時間で終了するコンパクトなシナリオにする

3.テクニックを駆使しないと勝てない戦闘バランスにしない


 まずは、1の「判りやすい出来合いキャラを作る」について。


 キャラメイクはD&D4版の大きな楽しみな1つなのでが、初心者向けの単発セッションの場合には出来合いキャラを使用しています。この出来合いキャラは、Game Dayのような書式のA4キャラシーをエクセルで自作しています。関連するデータを網羅し、パワーなどはアクション種別ごとに記載して、このキャラシーでルール説明が可能のようなものを目指しています。


 で、これらのキャラクター作成の指針は以下のとおりです。

・低レベルキャラにする

 データが少ない方が理解しやすいです。ですので、キャラクターはなるべく低レベルが好ましいです。現段階ではデータ量が少なさと、パーティ総力から、2レベルが最適かと思っています。1レベルでは事故、たとえばクリティカル・ヒットを受けてピンチになった時などのリカバリー手段が限定されています。2レベルになれば、汎用パワーと魔法のアイテムがありますので、1レベルと比べて飛躍的にパーティ総力がアップしますので。


・処理が複雑なデータのキャラは省く

 運用が難しいキャラは作らないということです。

 どういうキャラの運用が難しいかというと、条件によって発動する能力(もちろんパワーも含みます)の多いキャラがまず始めにあげられるでしょう。例えば、クラスならウォーロックやルーンプリーストなど。種族なら、重傷によって修正がはいるドラゴンボーンやティーフリングなど。

 つぎに運用が複雑、またはセンスが要求されるものは省きます。自キャラ以外のユニットも扱う必要のあるシャーマン、野獣使いレンジャー、ウィザードなどの[召喚]パワーなどは複雑ですね。遠近使い分けるドルイドや、近接戦闘要員なのに打たれ弱い2刀レンジャーなどは運用にセンスが必要です。後、戦闘の流れを見て使用すると光るパワー、逆に使用にセンスが必要なパワーよりは、シンプルに判りやすいパワーを選択します。例えば、ウォーロードの無限回パワーならば、連携を前提とし動作が複雑なフューリアス・スマッシュよりも、シンプルなダイレクト・ザ・ストライクの方が初心者向けとしては好ましいと考えています。

 後、硬いキャラにすることを心がけています。【耐久力】を12以上に割り振り、防御値のあがる能力や特技を優先します。

 一番運用が楽なキャラは、弓レンジャーや嵐のソーサラー、撃破役寄りビルドをした弓シーカー辺りだと考えています。ただし、主に距離をとって攻撃する役割なので、5人以上のパーティの5人目枠ですね。指揮役はそれほど硬くはないのに前衛か中衛にいないといけない場合が多いので、前衛タイプのビルドをよくします。鎧や盾で身をかためた武闘派クレリックや、最前線ウォーロードなどです。



 次に、2の「3〜5時間で終了するコンパクトなシナリオにする」について。


 タクティカルな戦闘を楽しめるゲームは総じてプレイ時間が長くなります。自分たちは6時間オーバーのセッションを平気でやりますが、いきなりそれでは抵抗があると思います。ルール説明を終えて14時からスタートした場合、セッションとしては18〜19時程度には終わる程度が好ましいと考えるわけです。

 そこで、だいたい3遭遇程度のシナリオを組みます。チュートリアル戦闘でホットスタート、技能チャレンジで問題解決の手口を見出し、ラストバトルで終了みたいな流れなどです。

 戦闘はチュートリアルとラストバトルの2回しかありませんが、だいたいそれで問題ないかと思います。なぜなら1戦闘にどれくらいの時間がかかるかは見通しが付きにくく、慣れたプレイヤーたちよりもずいぶん時間がかかるケースも想定しておかないといけないからです。初心者プレイヤーが自分のターンで色々な戦略を考えた場合、自然に戦闘時間が長くなります。コツをつかめば戦闘の勘所がある程度判りますが、初心者にそれを望めません。じっくり考えるということは戦闘を楽しんでいることでもあります。基本急かさないように心がけています。また、ロールプレイなどで時間がかかるケースなども当然想定しないとダメですね。

 ただ、戦闘はサクサク進んむ場合もありますので、もう1戦闘ぐらいを挿入できる用意をしていた方がよいかも知れませんね。



 最後に3の「テクニックを駆使しないと勝てない戦闘バランスにしない」です。


 アメリカ産ゲームの基本思想はトライ&エラーを前提とした挑戦型と思っています。D&D4版も例外ではなくて公式シナリオの戦闘バランスは日本人の感覚からしてはキツメだと思っています。もちろん、それが楽しいということは承知していますが、初心者向けセッションにおいてはそこまでの戦闘バランスにはしません。

 具体的には「レベル差の上限は+2」と「雑魚を除くモンスターの総数はPCの人数以上にしない」で丁度良い程度かなと思っています。

 PCにあまり被害を与えられないケースももちろんあります。しかし、初心者向けセッションならそれでいいかと思います。

 モンスターの運用ですがいきなりタクティカルなものにはしません。PCたちの力量を見てからじょじょに厳しいことをしていくとかで問題ないと思っています。

 最近の新メンバーはカードゲームをやり込んでいたりして、TRPG初心者でも戦闘ルールの飲み込みが早く、運用でセンスの光る人が少なくないと感じています。Game Dayのテストプレイをしてもらった時も難なくキャラを動かす方もいます。一概に戦闘バランスを簡単にしなくてはならないということはないですが、初対面のメンバーとプレイする際は簡単目から始めるのが無難でしょうね。



 ハウツーの基本的な点は以上です。お気楽に楽しんでもらえたら成功かなと思っています。現在も方法論というまでは確立せず、トライ&エラーをしている段階ではありますが、「キャンペーンに参加したい」など嬉しいことを言ってくれる参加者もいます。

 サークルやプレイスタイルによって方法論は異なるとは思いますが、参考になれば幸いです。