ダーク・サンの都市(その5)

 今回はダーク・サン。都市国家レアン(Raam)とドラジ(Draj)について。


 まずは妖艶で奔放な妖術女王アバルァチュリィ(Abalach-Re)が治める“不夜都市”レアンについて。治めるといってもアバルァチュリィは都市の統治を放置しています。己を絶対神バンダの化身――長いフンドシを身につけた4本腕の歯をむき出した神の再来と宣言、その最高官(Grand Vizier)という位に就いて好き勝手やっているとのこと。当然、風紀と治安を保てず、暴動や反乱の芽が絶たちません。

 アバルァチュリィが無軌道な快楽主義者かというとそうではないでしょう。幾世紀もの間、愛人との間に何人もの子供をもうけているのも、東南アジアっぽい神を崇めているのも、市政に関心を示さないのも、すべては利己的な野心のためなのは確かです。彼女にとってこの都市は、手元にある生贄であり、それが目的を利するならどんな状態かは無関心なのかもしれません。自己愛を己の国家まで拡張する妖術王とは違い、彼女の自己愛は己の身体を越えないのかもしれません。

 レアン自体はカースト制の身分社会です。何かもっと無秩序な感じをイメージしていましたが、堕落した悪徳の都市という感じであくまで“都市”なのですね。

 有力者たちの権力闘争、反乱の火の手などのネタを扱いやすい舞台だと思います。



 続いて“月の都市”ドラジについて。この都市を支配するのは己を月の神の子供である断言している“神の子”テクタイトレィ(Tectuktitlay)。

 宗教を己の陰謀の隠れ蓑に使うアバルァチュリィと違って、どうやらテクタイトレィはガチで信じているらしいです。


 ドラジの社会組織は氏族(Clan)で、同族が特定の仕事を司るという感じです。宗教国家というイメージですが、案外ドラジの氏族民たち大半は熱狂的信者というわけでもなく、支配者がそうだから受け入れているとのこと。さらに、テクタイトレィのルックスは平たい鼻にたらこ唇で、威厳のあるイケメンというわけでもないと思っている――だけど口にはださないよとあります。

 いやしかし、テクタイトレィの【魅力】は29! 他の妖術王たちと決して引けをとりません。さらに、30レベル近くの者がいる中、22レベル精鋭の彼――15〜16レベルのパーティにも負ける可能性アリの彼にしては健闘しているのではないでしょうか?

 さらにルックスはよくないということは、キンキラキンに着飾ったりして威厳を保とうとしているんですよ、多分。専用の魔法のアイテムを開発したりているんですよ、おそらくは。

 何かコンプレックスから自意識を病的に肥大化させてしまった教祖様みたいに見えてきましたね、“神の子”……。


 恐らくは彼は妖術王たちの中での“萌え枠”なんでしょう、多分w

 今回で都市の説明は一応終わりです。要望があれば他の地域の解説などを簡単にやろうかなと思っております。