JGC2014 ハーンマスター体験会

 今回は日本最大のTRPGイベントであるJGC2014について。8月30日および31日に、サンセットゲームズのブースにおいて『ハーンマスター』とボードゲームの体験会を行ないます。

http://www.arclight.co.jp/jgc/index.php


 特に何時何をやると決めておらず、参加者の希望でゲームを行なう感じですので気楽に顔をだしてもらえればと思っています。

 『ハーンマスター』体験会は当ブログで公開中のシナリオの拡張版を行なう予定です。


 よろしくお願いします。


*9月1日追記
 JGC2014でハーンマスターの体験会を7セッションさせていただきました。参加者の皆さま、ありがとうございました!

D&D Next基本ルール公開!

 今回はホットな話題の『D&D Next』について。D&D5版について重要な動きがありました。


 まずは、ホビージャパンさんの告知から。

http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/news/next/index.html


 Wizards社が、翻訳版のライセンスは発行しないことに決定したことが通知されています。

 ホビージャパンからNextの日本語版が発売されるものだと当然思っていたので、これにはびっくりしました。

 ただ、Wizards社自身が日本語版を発売する可能性はあるので、翻訳版は絶対出ないということではないとのことです。


 日本からの要望が多ければ可能性はなくないのですね。



 で、そのNextですが、Wizards社のウェブサイトで先日基本ルールのPDFが無料公開されています。


http://www.wizards.com/dnd/Article.aspx?x=dnd/basicrules


 何か凄い時代になりました。データを売るという商売から、別のもの、例えば体験を売るという形にシフトしていっているのでしょうか?

 無料データで間口を広げ、これを足掛かりにビジネスを展開していくのでしょうね。


 そして、気になるNextの中身ですが、テイストはクラシックD&Dに近いですね。こちらも凄い方向転換を感じます。


 各版のキャラメイキングを模型に例えると、3版系は精緻なフルスクラッチモデル。パーツの組み合わせは数知れず、奥が深い。4版はガンプラ。素組みでもなかなか見栄えがよく、とっつきやすい。さらに、そこから改造やフルスクラッチなどの奥の深いことが可能。

 それらに比べると、Nextは着色済みのアクション・フィギャかなと思っています。作る部分は少なく、すぐ手にとって遊べることを念頭においている。作る過程よりも、おもちゃとして遊ぶ原点に回帰しているという感じです。


 まあ、模型の例えは判りにくい方も少なくないかもしれないので、実際どういう感じか簡単に紹介します。


 凄くシンプルな、子供が飲み込みやすいルールになっています。掛け算はもちろん、足し算や引き算を頻繁にやらないものになっています。

 能力値は従来通り6つ。3版以降と同じく、10を2超す毎に+1のボーナスを得ることができます。従来通りこの能力値ボーナスが全ての判定の基礎になります。

 そして、判定を行なう際、これにクラスのボーナスが加算されますが、これは習熟ボーナス(Proficiency Bounus)というものに統一されています。これは1レベルで+2で全クラス統一、そして4レベル毎に+1されていきます。

 例えば、ロングソードに習熟していたら筋力ベースの攻撃ロールに、〈軽業〉の技能に習熟していたらその敏捷力テストに、+2の習熟ボーナスを得るという形ですね。

 大体、すべてこの形で判定する感じです。


 では、有利な状況のボーナス、不利な状況のペナルティはどうなるのでしょう? これについても、「有利」(Advantage)と「不利」(Disadvantage)の二つにまとめられています。「有利」ならd20を2つロールして良い出目を採用。「不利」の場合は悪い目を採用になります。

 ともかく、足し算と引き算を頻繁に行なうことを避けて、シンプルに軽いものを目指していると思います。


 じゃあ、PCのデータもシンプルで選択肢が少ないかといえば、ここは拡張性を持たしている感じです。

 種族と背景によって習熟技能や特殊能力に幅を持たせ、クラスでもバリアントを多く用意して差別化を図る感じですね。

 例えば、ファイターなら戦闘スタイルが基本ルールで6つ提示されています。

 戦闘ルールもシンプルなものになっていますね。そして、状況打破力の多くは呪文に依存するという旧来の形に戻っていますね。


 以上、ざっくりとした概要です。

 今月にStarter Setが発売されます。紀伊国屋で注文中なので、入手したらプレイして感触を確かめたいですね。また、Web公開された基本ルールには想像以上にビジュアルがなかったです。もっと、ボードゲームコンシューマーゲームっぽいビジュアル体験を盛り込んだものだと思っていたのですね。そういう意味でStarter Setに期待しています。小学生男子が思わず凝視しちゃうような、そんなワクワクが詰まった物ならいいですよね!

『ハーンマスター』ショート・シナリオ公開!

 今回は『ハーンマスター』のショート・シナリオを公開しましたので、その紹介です。

 本ブログのトップ記事からダウンロード可能です。

http://d.hatena.ne.jp/Yasujirou/20500101



 このお試しシナリオにはプレロールド・キャラクターも載せていますので、以前アップしたサマリーだけで遊ぶことも可能です。もっとも細かいルールはサマリーに載せていませんので、マスター裁量に頼る部分も少しはあります。


 本シナリオは戦闘メインであり、『ハーン』のシステムの雰囲気を味わってもらえるものにしました。シナリオの内容は「さらわれようとしている女性を助ける」というベタなネタに、ハーンらしいテイストを盛り込んだものにしています。

 『ハーン』に関しては、膨大な世界設定を前にどう遊んでいいか最初解らなかった部分もあるのですが、試行錯誤していく内に本シナリオみたいなスタイルに落ちつきました。

 『ハーン』で遊ぶことができるシナリオのベクトルは、荘園生活ものや、宮廷の陰謀ものなど幅広いです。本シナリオは、私なりの遊び方の一つの提示になります。

 本シナリオで『ハーン』を体験していただけたり、何かの参考にしていただければ幸いです。

DAC愛知のご案内

 今回は「d20 Around Convention in Aichi」(略称:DAC愛知)のご紹介です。


http://www55.atwiki.jp/dac_aichi/


 7月26日(土)と7月27日(日)に開催のd20システム系のコンベンションです。昨年から開催場所が変わり、1日でなく2日間のイベントになっています。

 現在、GM募集中なのですが、D&D4版とPathfinderの卓はあるかと思います。また、時期的に次の版のD&Dの卓もたつ可能性もなくはないですね。


 D&DやPathfinderに興味のある方、せっかくの機会ですし参加を検討されたらいかがでしょうか?

美しくもハードなペンギンTRPG『Valley of Eternity』のご紹介!

 はい、今回もマイナー・システムのご紹介ですよ〜

 恐らく日本では指の数程度しかプレイされていないだろう『Valley of Eternity』についてです。


 本作は一言でいえば「ペンギン」です! そうです、PCは全員あの飛べない鳥です。

 動物モノってことはほのぼの系? いいえ、違います。


 白銀の世界、南極。

 その美しいも過酷な世界を生きるペンギンたち。

 これは異能を持つペンギンたちのアイデンティティをかけたハードボイルド・ストーリー。

 それが『Valley of Eternity』!




 なんじゃこりゃ〜〜??

 はい、別に酔っぱらって書いてるわけじゃないですよ。

 本作はスウェーデンの女性デザイナーに手による『Ikuisuuden laakso』を、英訳したものとのこと。

 Vagrant Workshopより発売中。


http://www.vagrantworkshop.com/index.php?categoryid=8&p2_articleid=35




 リンク先には表紙イラストが。白銀の世界を背に槍を持つ難しい表情のペンギンらしき生き物が……。

 ほのぼのって感じじゃないですよね?

 この世界の南極ではペンギンは簡単な道具や住居を使って暮らしています。しかし、頭の中は基本的に鳥類。「食べること」、「寝ること」、「卵を育てること」の三大欲求が彼らの行動原理です。


 PCたちはこれらの普通のペンギンから逸脱した存在になります。

 まず、ペンギン・ヒーロー。彼らは自我、哲学に目覚めたペンギンです。

「俺たちの生きる意味は?」

「皆、自分勝手に生きていてもだめじゃない? 私たちには道徳が必要では?」

「皆を導く理念が必要だ!」


 彼らは思い悩むことでPhilosophical Powers(哲学パワー)という超常能力――他人を癒したりアザラシを召喚したりする能力などを得ます。ちなみに、ペンギン・ヒーローのサンプルキャラには、ギリシャの哲人や神々の名前がつけられています。

 彼らはペンギン社会の護り手でもありますが、その社会の異物です。彼らの考えはそのレベルの高さ故に社会の理解を得ることはないのです。これが、ヒーローたちの人生をドラマチックかつハードのものにしています。


 PCたちが選べるもう一つの英雄像がアンチ・ペンギン。

 彼らも自我に目覚め社会から逸脱したものたちです。

 過酷な南極大陸。自分たちの生き方はこれでいいのか? 氷河の呼びかけに応じた彼らはペンギンを超えた存在に変貌します。

 魚しか食べることのできなかった嘴は猛禽類のそれに変わり、身体の白黒の模様が反転。そして、彼らは肉食獣として、通常のペンギンなら生きることができない雪原を住みかとするのです。


 表紙のペンギンはそうです、アンチ・ペンギンです。彼らはGifts of the glacier(氷河からの授かりもの)という攻撃的なパワーを身につけます。ペンギン社会の掟からも超越している彼らには、卵泥棒や同族喰らいすら行うものもいます。

 ダーク・ヒーロー。それがアンチ・ペンギン。彼らは氷河の声に応じた際、ブラック・スノーなどのはずかしい格好よい名前を名乗り始めます。


 彼らの存在はペンギン社会、そしてもちろんヒーローたちとも摩擦を起こします。そして、過酷な氷河の意思の信奉者である彼らに安穏という文字はありません。



 このようにPCの存在自体にドラマ性を盛り込んでいるのですね。「君はペンギンです」ってところで止まってなく、何とも言えない独自色を打ち出していることはいいですね。



 次にルール面。

 使用するダイスは6面体のみ。テストに使用する能力値と同じ数のダイスを振って5以上の出目の数を成功数と見なすタイプです。

 選べるペンギンは皇帝ペンギンイワトビペンギンなど6種類(ちなみに自分はアデリーペンギンという言葉をこのシステムで覚えました)。選んだ種類によって能力値ボーナスと特殊能力がもらえます。

 ここら辺はすごくオーソドックスな感じです。

 本システムでユニークなのはいわゆるHPの概念。ここではそれはWarmth(暖かさ)という数値で表されます。過酷な南極を生き残るには体温が必要というわけです。

 Warmthがマイナスなれば倒れます。ちなみに、意識を失った仲間に密着して自分の暖かさを相手に分け与えるルールもあります。凍える人を体温で温めるってやつですね。


 そして、Warmthを維持するのに必要なのがFat(脂肪)。脂肪を燃やして体温を維持するわけです。Fatはペンギンなら魚、アンチ・ペンギンなら肉を摂取することで補給することが可能です。また、PCたちの超常能力はこのFatを燃やすことで使用することができるわけです。

 Fatに関しても仲間に分け与えるルールが存在します。

 詩的に表現すれば“命の源を口移しで分け与える”。

 身も蓋もなく言えば、ヒナに餌を与えるように、胃の中の未消化のものを相手の嘴の中に注ぎ込むってことになります、はい。


 システムのバランスはどうかというと、結構シビアです。付属シナリオが2本ついているのですが、どちらでも死者(死ペンギン?)がでましたね。

 このシビアさも本システムの世界観にあっていてよいと思います。



 試される地、南極。

 温かい血潮も雪原ではすぐ凍る。

 魂の雄叫びも吹雪にかき消される。

 残るは白銀の静寂……

 しかし、氷河は知っている。

 脂肪を燃やし生きあがいた者たちを……

 己の心に殉じた英雄たちを……



 成長ルールなどなく、何度も遊ぶようなものではないです。
 ただし、とりあえず一回は遊びたくなることろが大変よくできたシステムだと思います。

 PDF版が$10.05。93ページですが、絵本みたいなレイアウトで1ページ当たりの文章量は少なめ。1冊にコンパクトにまとめています。英文も簡単な部類。シナリオも1作、5ページ程度のもの。

 半日程度で何かインパクトのあるセッションをされたい方。ペンギンTRPGいかがでしょう?

 ダイス運こそ力、『アースドーン』!

 今回は『アースドーン』の紹介。今年、アメリカで4版が制作中の根強い人気を持つファンタジーTRPG。また、自分のサークルで息長く遊ばれ続けている現役システムでもあります。


 『アースドーン』の初版が発売されたのは1993年。出版元は『シャドウラン』でヒットを飛ばしたFASA社。日本では1997年からメディアワークスから翻訳版が展開され、オリジナル小説やサプリメントをアレンジしてまとめたものなども発売されました。



 FASA社の倒産によって一度展開が打ち切られるのですが、『シャドウラン』同様に別の会社が新版を発売するなどして息長く続いています。その魅力の一つとして世界設定があります。


 『アースドーン』は『シャドウラン』と同じくドワーフ、エルフ、オークなどが存在する世界観です。しかし、アステカっぽい雰囲気などスタンダードな魔法世界から外しています。そして、一番ユニークなのは魔法関連の設定。この世界の魔法はシャドウランでお馴染みのアストラル界(霊界)を介して行われます。これらの設定が実にSF的でエッジがきいたものでした。これらの設定は、アストラル界をウェブととらえると理解しやすいです。つまり、20年前以上の前の作られた世界設定が現代の方が呑みこみやすいのですね。それだけ斬新的だったのです(逆に言うと時代を先取りしすぎてたのかも?)。


 具体例を見てみましょう。本作のタイトル『アースドーン』はEarth(大地、地球)のDawn(夜明け)の意味で、文明崩壊した社会からの復興の物語です。文明崩壊の原因はホラーと呼ばれる理解不能な邪悪な存在がアストラル界にやってきたことです。クトゥルフ神話の邪神のような奴らがアストラル界を汚染、物質世界も歪めてしまうのですね。ホラーの到来を予言により把握していた人類たちはアストラル界の干渉を受けにくい地下の居住区に避難して、この危機をやりすごしたという流れです。これを、ウェブに置き換えると、異次元から致死的なウイルスにより汚染。電波防壁を施した地下シェルターに避難してやり過ごすって感じでしょうか。

 呪文まわりのルールも複雑なのですが、これもウェブに例えると腑に落ちやすいです。術者が知っている呪文を発動させるためには数手順踏む必要があります。アストラル界にあるスペルマトリックスに呪文をあらかじめ準備し、活性化のための手続きをし、そして発動という流れです。アストラル界をウェブと考えると、呪文はウェブで走らせるプログラムです。ウェブが汚染されているので対ウイルス防壁で護られた領域が必要になります。これがスペルマトリックスに該当します。術者は自分用のスペルマトリックスの容量内でプログラムを走らせるわけです。必要になると思われるプログラムをマトリックスにアップロードさせるのが準備に該当。それを走らせるには、まずパスワードをいれて、最後に実行という形になります。こうとらえると高レベルの呪文は容量食うとか、呪文自体を持っていてもスペルマトリックスにアップロードしていないと急には使えないよとかのルールがよく判ります。


 後、魔法関連の設定で面白いのはパターンという概念。これは英雄譚(物語)を一種のプログラム的な魔法機能として捉えるものと考えています。いや、これじゃ意味が判りませんね。順を追って説明をば。

 PCたちはアデプトという魔法能力を持った英雄たちになります。D&D4版的に説明すれば“パワー源”が“アストラル”の戦士や術者たちなのですね。クラスに該当するのがディシプリンで、ウォリアやウィザード、シーフなどがあります。彼らの能力は魔力によるものなので、例えばシーフは鍵空けを盗賊道具ではなく念動力で行ったりするわけです。

 このディシプリンというものは、英雄道ともいえる哲学であり、英雄パターンであるわけです。例えば『北斗の拳』のケンシロウは英雄です。彼の伝説を元にホクトケンシなるディシプリンができたとします。ホクトケンシはケンシロウの生き様や哲学をなぞることで、超人的能力を得るわけです。ケンシロウの生き様から外れること、例えばヒャッハーと暴力をふるったりすると、この超人的能力を失います。ケンシロウの英雄譚というパターンから魔力を得ているわけで、それとリンクしなくなると力を得られないわけなのですね。しかし、ホクトケンシの規範は狭いかというとそうではありません。ケンシロウだけではなく、ホクトケンシたち自身の伝説によってリンクの幅が増えてくるわけです。例えば、トキのように攻撃ばかりではなく治癒能力を開発するホクトケンシもいるでしょう。また、ストイックな者だけでなく『花の慶次』のような豪傑の伝説もあるとかですね。

 本システムは魔法のアイテムも、英雄譚というパターンをもったものになります。というか、英雄譚を持つアイテムが魔力を持つという感じですね。そして、PCは魔法のアイテムの伝説を追体験することでその秘めた魔力を開花させていくというルールになります。例えば黒曜石製の剣を見つけた。その名前を知ることで切れ味が増す。その剣の持ち主の伝説を知ることで、ホラーに近づくと刀身から光を放つようになる。前の持ち主の英雄の命を奪ったホラーを特定条件で倒すことで、最終的な力を発揮する。魔剣の伝説を自分のものにすることで、その力も己と一体化するという感じです。

 現代にも通じるユニークな設定ですね!



 『アースドーン』は世界設定だけでなく、システムもユニークでした。これがあるから今でもプレイし続けているというか。簡単にいうとダイス運格差社会システムです。

 本システムの行為判定はステップというダイスロールで行われます。例えばステップ8なら2d6、ステップ14なら1d20+1d4をロールして判定を行います。

 ダイスロールの期待値がステップの数字と±1の範囲に設定されているわけですね。

 d20システムで6以下の目を5連続ロールした方や、「ハハ、2d6の期待値は5だろぅ、ハハ」みたいな御仁にとって恐怖なことに、本システムでは固定値、つまり1d10+10みたいなものは存在しないわけです。


 さ・ら・に、すごいことにこのダイスロールにおいて最大の目をだしたダイスは、最大の目を出し続ける限り振り足し続けることができるのですよ!

 例えば、2d6の出目が「3、6」だった場合、6のダイスは振り足し。再度、出目が6の場合、振り足し続けるのです。「2d6の期待値9です」みたいなことや、2d6で39の出目をだすことも可能。

 ダイス運を持つものが最凶の格差社会システムなわけです。


 今年、終了したキャンペーンにプレイヤーとして参加していました。プレイヤーの1人の大学生、彼は“持って”いました。


 彼のキャラのディシプリンはビーストマスター。D&D3.5版のドルイドから呪文を取って代わりに爪攻撃能力を足したような、前線系とはいえないクラスです。しかし、彼のキャラはパーティ内の安定した大火力と見なされていました。PCのデータよりも、本人のダイス運が重要なのです!

 d20を振り足す、振り足す。ボスキャラをその爪で瞬殺すること数回。『君のダイス、それ、ツクダ製やろ、今後使用禁止!』と、ヤングメンに大人げないダダをこねる三十路マスター。そして次回セッション、「あ、でました」と可愛い顔してダイス変更後もしれっと20の目をロールする若人!


 ダイス目格差社会なのです。ゲームバランスはデータよりも、参加者のダイス運量を図って考えるシステムなのです。

 まあ、当然ダイス運なくてもデータを駆使することで見せ場は確保できないわけではないですよ、一応。それに、なんだかんだ言って誰もが大きい目を目指せ、そして出目が低い低いといいながら30オーバーとか出せるシステムなのですよ。


 燃える要素の多い本システム。4版発売でまた盛り上がることを期待しています!

中世イングランド版『混沌の渦』発売!

 遅ればせながら明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。


 『混沌の渦』の中世イングランド版、『Maelstrom Domesday』が正式に発売されました。今回はその紹介です。ウェブショップのRPG NOWなどで販売されています。


http://www.rpgnow.com/product/120361/Maelstrom-Domesday?src=s_pi


 前に紹介したとおり本作は1086年の大ブリテン島を舞台しています。完全な歴史ものTRPGってわけではなく、この世界は“混沌の渦”(Maelstrom)の影響によって怪奇現象が起きています。悪魔や巨人、魔法などもある程度存在する世界なのです。

 プレイヤーたちの立場は探索者(Investigator)になります。鬼火を見たり、霊魂に憑依されたなどの超常現象の経験者。その経験をパトロンにかわれ、怪奇現象の解決を命じられた者たちになります。

 プレイヤーを“探索者”に限定したことで大分遊びやすくなっていると思います。この枠組みがあるから、修道僧と物乞い、馬丁、弓兵のプレイヤーが一緒に協力することも無理がありません。逆に枠組みがなければ、この時代の身分や階級を超えて協力するシチュエーションを考えなければなりません。架空の世界ならまだやりやすいですが、11世紀のイギリスですからね。自分にはかなり難しいです。旧版の『混沌の渦』を未プレイだったのもこの困難さからです。

 それと“探索者”ということで、ある種『クトゥルフの呼び声』的な探査ものの遊び方をデフォルトに出しているのでしょうね? ちなみに、本システムではGMはレフリーと呼ばれます。そして、当然ながら狂気に陥るルールもありますよ。ただ、戦闘やキャラシステムは『ウォーハンマーRPG』に近いですね。『痛打表』ならぬ『重傷表』や『致命傷表』も存在しますよw



 基本ルール以外にも『Investigators Guide』、『Map Book』、『The Beast of Ledsham』が発売されています。

 『探索者ガイド:Investigators Guide』はプレイヤーサマリー。戦闘ルールや設定がまとめられていますが、これだけでキャラクターメイキングはできません。

 『地図集:Map Book』は汎用地図集でして、全体地図、城や修道院の見取り図、荘園地図数パターンなどが掲載。何か旧版『ウォーハンマー』テイストのサプリメントです。

 『レッドシャム荘の獣:The Beast of Ledsham』は入門用シナリオ。レッドシャム荘の近郊の森に邪悪なものが潜んでいる。動物が食い殺され、おびえる村人たち。ノルマン人の男爵は勇敢な探索者にその解決を命じるってな感じの内容。全24ページで手ごろな感じかな? 今度、このシナリオをプレイしてみようと思っています。


 最後に基本ルールには本作のウェブ投資の出資者が掲載されています。自分以外にも日本人の名前がちらほら。こういうの嬉しいですよね!