TRPGでの自己表現ってカラオケで歌う感じじゃないかなと?

 今回はTRPG全般についての話です。

 まずは結論から。TRPGには自己表現の部分があります。特にロールプレイやシナリオメイキングなどがそうですね。どうも、この“自己表現”に高いハードルを課す人が増えているような気がします。人の心をうつロールプレイ、シナリオじゃなきゃだめみたいな。しかし、自分の経験からはTRPGにおける自己表現は漫画や小説などを発表するのとは性質が異なると思うわけです。それよりはカラオケのアニソン大会で歌う感じに似ているかなと。プロ並みレベルを求めると歌えませんし、周りもそれを当たり前のように期待しているわけでもない。また、盛り上がる要素ってのは参加者同士の仲がいいとか、気配りとかもとても重要。そういう風に思うわけです。



 この「自己表現に高いハードルを課す人が増えている」っていう自分の違和感は、プレイスタイルの違い、ジェネレーションギャップ等が根っこにあるのかなと思います。自分がTRPGを始めた時時にはネットはなく、リプレイなども限られておりどちらかというと遊び方をサポートする側面が強かったと思います。そして、サークルに所属して遊んでいました。仲間同士の狭いコミュニティでの遊びだったわけです。

 上で「カラオケで歌う感じに似ている」でなく「カラオケのアニソン大会で歌う感じに似ている」と挙げたのは理由があります。コミュニケーションツールとしての一般的なカラオケではなく、仲間同士の狭いコミュニティでの楽しみというわけです。自分の好みをさらけ出せる同好の士、だからはっちゃけられる。で、店員さんがドリンクを持ってきたら歌が止まっちゃう感じの場を想像して下さい。この内輪で楽しむという遊び方が、自分のTRPGのベース、原点になっています。


 ただ、現在のTRPGの遊ばれ方はもっと“人に見てもらう”ものにシフトしていっているような気がしないでもないです。商品として売られているリプレイ本、ライトノベル的な読み物の側面も強いものでTRPGに触れた。また、ネットにより情報発信が容易になり、TRPG動画の投稿なども多くなりました。TRPGといえばこれらが原点という人も多くいて、今後はもっと増えると思っています。

 自己表現について高いレベルを目指すのは大変素晴らしいことなのですが、それにこだわり過ぎるのは大変じゃないかと思うわけです。カラオケでプロや「歌ったみた」の動画投稿者レベルのハードルを自らに課すのと同じで。特に初心者の方は下手で当たり前。また、別に自己表現以外の部分でも、セッションは盛り上がります。例えば、他のプレイヤーの発言を熱心に聴いてくれる方はありがたい存在ですよね。


 自分の中では身内のなあなあでグズグズでもOKなセッションがデフォルトだったのですが、何か今は自分の思う所の“よそ行き”セッションが主流になった感がします。プレイスタイルというものは変わっていくもので、オンセ環境の進化によってもっと新しいスタイルも生まれてくるかと思います。しかしながら、プロやセミプロのプレイをスタンダードと思うとハードルが高すぎると思ってしまうわけです。もっとお気楽でもええやんみたいな。


 まあ、自分の狭い交流範囲での流れによる判断なので頓珍漢なことを書いているかも知れません。また、世代によって感じ方などが当然異なると思います。こういう考え方があって、こういう風に遊んでいる人がいるんだなと思ってもらえれば幸いです。



 本年は当ブログにお越しいただきありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

 来年もよいTRPGライフを!

ダーク・サンの都市(その5)

 今回はダーク・サン。都市国家レアン(Raam)とドラジ(Draj)について。


 まずは妖艶で奔放な妖術女王アバルァチュリィ(Abalach-Re)が治める“不夜都市”レアンについて。治めるといってもアバルァチュリィは都市の統治を放置しています。己を絶対神バンダの化身――長いフンドシを身につけた4本腕の歯をむき出した神の再来と宣言、その最高官(Grand Vizier)という位に就いて好き勝手やっているとのこと。当然、風紀と治安を保てず、暴動や反乱の芽が絶たちません。

 アバルァチュリィが無軌道な快楽主義者かというとそうではないでしょう。幾世紀もの間、愛人との間に何人もの子供をもうけているのも、東南アジアっぽい神を崇めているのも、市政に関心を示さないのも、すべては利己的な野心のためなのは確かです。彼女にとってこの都市は、手元にある生贄であり、それが目的を利するならどんな状態かは無関心なのかもしれません。自己愛を己の国家まで拡張する妖術王とは違い、彼女の自己愛は己の身体を越えないのかもしれません。

 レアン自体はカースト制の身分社会です。何かもっと無秩序な感じをイメージしていましたが、堕落した悪徳の都市という感じであくまで“都市”なのですね。

 有力者たちの権力闘争、反乱の火の手などのネタを扱いやすい舞台だと思います。



 続いて“月の都市”ドラジについて。この都市を支配するのは己を月の神の子供である断言している“神の子”テクタイトレィ(Tectuktitlay)。

 宗教を己の陰謀の隠れ蓑に使うアバルァチュリィと違って、どうやらテクタイトレィはガチで信じているらしいです。


 ドラジの社会組織は氏族(Clan)で、同族が特定の仕事を司るという感じです。宗教国家というイメージですが、案外ドラジの氏族民たち大半は熱狂的信者というわけでもなく、支配者がそうだから受け入れているとのこと。さらに、テクタイトレィのルックスは平たい鼻にたらこ唇で、威厳のあるイケメンというわけでもないと思っている――だけど口にはださないよとあります。

 いやしかし、テクタイトレィの【魅力】は29! 他の妖術王たちと決して引けをとりません。さらに、30レベル近くの者がいる中、22レベル精鋭の彼――15〜16レベルのパーティにも負ける可能性アリの彼にしては健闘しているのではないでしょうか?

 さらにルックスはよくないということは、キンキラキンに着飾ったりして威厳を保とうとしているんですよ、多分。専用の魔法のアイテムを開発したりているんですよ、おそらくは。

 何かコンプレックスから自意識を病的に肥大化させてしまった教祖様みたいに見えてきましたね、“神の子”……。


 恐らくは彼は妖術王たちの中での“萌え枠”なんでしょう、多分w

 今回で都市の説明は一応終わりです。要望があれば他の地域の解説などを簡単にやろうかなと思っております。

中世イングランド版『混沌の渦』!

 今回は『混沌の渦』の中世イングランド版、『Maelstrom Domesday』について。資金調達サイトKikcstarterで投資の募集があったので一口乗ったところ、β版のPDFが送られてきたので簡単なご紹介をば。


 まず初めは『混沌の渦』の紹介です。こちらは1988年に翻訳版が文庫ででています。『ロードス島戦記』の小説が初めて発売されたのと同じ年で、TRPGの存在自体、そもそもファンタジー世界の情報が少なかった時代の話です。


混沌の渦 (現代教養文庫―ロールプレイング・ゲーム)

混沌の渦 (現代教養文庫―ロールプレイング・ゲーム)


 当時、『ウォーロック』というゲームブック専門誌がありまして、こちらが『ファンティング・ファンタジー』の流れでTRPG関連もとりあげていました。自分がTRPGの存在を知ったのもこの雑誌のお陰。そのラインで発売されたのが『トンネルズ&トロールズ』(山本弘氏がプレイ紹介漫画を書かれていましたね)。これらや『ロードス島戦記』は単体の作品だけでなくてTRPGファンタジーの紹介記事としても活用していました。『T&T』の巻末の武器紹介でフランベルジュの形状が判ったりしたものです。


 その社会思想社が『T&T』の次に発売した文庫タイプのTRPGが『混沌の渦』です。しかし、本作は傾向ががらりと変わり16世紀ヨーロッパを舞台にしたリアル系の作品だったのですよ。読んでみて「何じゃこりゃ?!」って感じでしたよ。ゲームブックで主人公が“冒険者”や“宇宙船乗り”とかはありましたが、“君はロンドンの仕立屋だ”とか言われてもどないすんねんみたいなw

 『混沌の渦』は結局、基本ルールのソロアドベンチャーを遊んだだけで、実プレイはできなかったです。当時、リアルな16世紀ヨーロッパはなかなか想像できなかったので。ただ、それでお終いだったというわけではなく、中世の資料、読み物として活用させてもらいました。巻末の30ページを超す薬草一覧とかいかがわしくてよかったですね。これらのテイストは1991年に発売された『ウォーハンマー』にも活用させてもらいました。

 なんだかんだいって思い入れのあったシステムの一つでした。



 その『混沌の渦』がファンの間で遊ばれ続けていて、今回1086年の大ブリテン島を舞台とした『Maelstrom Domesday』のプロジェクトがスタートしたわけです。


http://www.arion-games.com/MaelstromDomesday.html


 ちなみにリンク先の左下にある“ど中世”テイストなイラスト。ルールブックにも結構のっていますよ。こんな感じのイラストを載せるのは『ハーン』だけじゃなかったのですねw


 β版の中身を簡単に紹介しましょう。和訳は適当なものなのであしからず。

 本作は以下とおり構成されています。

 第1章 導入
 第2章 キャラクター作成
 第3章 ゲームルール
 第4章 戦闘
 第5章 魔術および混沌の渦
 第6章 レフリーへの忠告
 第7章 動物誌
 第8章 1086年の生活
 第9章 ヨークおよび周辺地域
 付録1 病気
 付録2 薬草
 付録3 タイムライン


 薬草に20ページ近くさいているのは流石というべき。後、動物誌に動物だけでなく、悪魔や狼男なども載っていますね。完全な歴史物ではなく、当時の住人が“いる”と信じていた怪物も扱っているのですね。

 また、魔術も司祭の悪魔払いなども存在します。魔術はざっと目を通したところ『混沌の渦』と同じような感じです。いわゆる固有の呪文などはなくて、魔術師は因果律に干渉して自分の望むような出来事を起こすことが可能という具合。例えば、看守が“たまたま”大あくびをしている間に、側を通り抜けるみたいな感じですね。



 ルールは1d100のパーセントロールが基本。能力値は10種類あり、パーセントロールにこれらを使用します。例えば、接近戦技術が44なら44%以下で成功とかですね。これらとキャリアのルールは『ウォーハンマー』に似ている感じですね。

 キャラクターは14才から経歴がスタート。人種や生まれをランダム決定し、キャリアを決定。キャリア毎に、経歴年数、能力成長、獲得特技、獲得アイテム、関連イベント表が決められいてます。まず、経歴年数分年齢を増加させ、能力値成長。これらは、「持久力+1d10」のように成長幅がランダムになっています。アイテムはアイテム毎に入手確率が設定されています。関連イベント表は「軍事」や「旅」などのキャリアに関連のあるイベント表をロールして経歴中に何が起こったかを決定。最後に1d100して自分の年齢以下ができればキャラクターメイキングは完成。そうでなければ、転職表を1d100して次の経歴を決定。これは必ず別のキャリアになるというものではありません。例えば身分の安定している騎士ならば88%の確率で騎士のまま。逆に鉱夫は元のキャリアにいる確率は42%とか。こうして1d100で年齢以下がでるまで、最大6回まで経歴を積みながらキャラクターを作成する感じです。

 ちなみに、特技ですがこれにはランクがあり6段階まで習得可能です。例えば農業1なら基本的な作業ができるようになり、農業2に成長させると判定に+10%のボーナスを得るなどです。


 まあ、どんなものか試しにやってみましょう。バートランド君はノルマン人の農民の生まれ。16歳までは召使いとして荘園領主に仕えました。そして彼はこの時期に熱烈な恋に落ちました。次に21歳まで薬草師として働きました。どうやら恋の相手は薬草師だったのかもしれません。彼はこの時期、巡礼地へと続く道において奇跡を目撃しました。ここで年齢以下の出目がでたので彼の経歴は終了。自然とキャラクターに肉付けされていく感じがいいですね。



 全体的にルールは簡単そうなのだし、英文も読みづらいものではないので製品版がでたらプレイしてみようと思っています。

JGC2013 ハーンマスター体験会!

 JGC2013でサンセットゲームズのブースで『ハーンマスター』とボードゲームの体験会をさせていただきました。

 ボードゲーム体験会は主に『スクイント』をプレイしました。これは自分しか見れないお題カードにかかれた指令に従ってカードを組み合わせて図形を作り、制限時間内に他のプレイヤーにそれが何か当ててもらうゲームです。表紙にある“メガネ”とかは簡単なのですが、“バグパイプ”とか高難易度のものを混じっています。でも、こういう難題も楽しく、制限時間切れになった時、「実はこれバグパイプでした」、「あ〜、言われてみれば〜」という感じに盛り上がります。短時間でワイワイ遊べるよいゲームでした。

http://sunsetgames.co.jp/otb/squint/squintgame.jpg



 『ハーンマスター』の体験会は10回以上行なうことができました。数十年ぶりにTRPGをやられた方や、初心者の方も参加していただけました。面白かったと言って頂いた方も多くおられ、嬉しかったです。

 実感したのはこのシステムは、見た目よりは難しくはないということです。ヘクスマップを使うということでやたら複雑なものを想像される方もいるかとは思いますが、だいたい『ウォーハンマー2版』みたいな感じですね。主要な部分はA4サマリー1枚に収まる程度です。

 体験会に際しチラシやサマリーを自作したのですが、なかなか好評でした。『ハーンマスター』にはこういうシステム面での便利ツールはあまり存在しません。

 そこで、当ブログで公開しようと思います。ブログのトップからダウンロードできるようにしました。

 今後、体験用ショート・シナリオなどもアップしようと思っています。

奴らが帰って来た! PCゲーム『Shadowrun Returns』

 今回は趣向を変えて未訳PCゲーム『Shadowrun Returns』についてです。


 『シャドウラン』と言えばサイバーパンクにファンタジー要素を融合させたTPRGで、1989年に誕生して以来、延々と遊び続けられているシステムです。先月にはアメリカで第5版が発売されています。本作は何回かコンシューマーゲーム化されており、そのひとつがスーパーファミコンゲーム『シャドウラン』(日本版発売1994年)です(大変イカシタ作品で思い入れが深く、今もカセットだけ持っています)。『Shadowrun Returns』はこの続編というか、現在の技術で根本的に作りなおしたものになります


http://store.steampowered.com/app/234650/?l=japanese


 Steamというコンピューター・ゲームのダウンロード販売プラットフォーム専用で販売されています。『Shadowrun Returns』はKickstarterというクラウドファンディングのサイトで資金調達しています。この企画をファンから直接融資してもらって、発売にいたったというわけです。


http://www.kickstarter.com/projects/1613260297/shadowrun-returns


 そのため大変マニア向けの内容になっています。前作と同じくクォータービューのアドベンチャーRPG。メインテーマのBGMは旧作のアレンジ。ただし戦闘はターン制に変更。シナリオ作成キットも同封。付属キャンペーンは実にマニア好みのものでしょう。

 死んだ仲間からマトリックスを通じての己の死の究明の依頼。イカレタ登場人物たち。そして、初版から登場しているシナリオ・フックをつかっての変化球。有名NPCもちらほら。なおかつ、今時っぽい美少女キャラも登場。

 マニア心をくすぐるよくできたシナリオでした。

 自分はトロール・フィジカル・アデプトでプレイしました。ゲームのデータ部分はスーパーファミコン版と同じく、TRPG版とそこそこのリンクはあるものの別物です。フィジカル・アデプトは魔力により肉体を強化した武道家で、自キャラは武器でなく素手で戦うタイプでした。素手でもキリングハンドというバフパワーで銃器以上の破壊力がでるのですね。筋力の高いトロールということもあり、後半では自ターンに敵を1〜2体狩っていく感じで、まさに挽肉製造機。爽快でした!


 ただ、内容は大変マニアックで一定層に向けた作品でしょう。サイバーパンク自体が1980年代にできたジャンルで、『シャドウラン』も1980〜1990年代から見た近未来がベースになっています。つまり、インターネットも携帯電話も普及していなかった時代を引きずっているのですね。

 具体的に言うとシナリオの冒頭にサムから連絡があるのですが、ゲーム上では自室のアパートでテレビ電話がある机にキャラを移動させそれを取るという形になってます。さらに言えば、近代施設の壁に丸い時計がかかっていたり、やたら紙ベースの記録を多かったり、主人公は主にレッグワークで聞き込みを行なったり。

 これは流石に古臭いですね。「奴から何か手紙がなかったか?」と聞き込みを行なうよりも、着信履歴などを調べて裏を取るってほうが納得感がありますね。

 ただ、この手の手法があっての『シャドウラン』とも言えます。電話を取るとか、ロッカーを漁るとかしないと、ゲーム的表現として“しまらない”。また、古臭い帽子被ったトレンチコートのドワーフ探偵が「マトリなんとか信用できるか! 情報は足で稼げ! ま、フィリップ・マーロウばりとはいかねぇがな」とか言うのは、実に『シャドウラン』的世界観にマッチしていると思います。


 もうある種の古典的パターンというものを『シャドウラン』は確立してしまってると思います。それ故に、尖鋭化していく。

 だから、Kickstarterでマニアから資金を調達し、販売方法もダウンロードのみ。そして、シナリオ作成キットを付属させることで、拡張性をもたせているのでしょう。


 ニッチな層を対象としている場合が多いTRPG。マニアのためにマニアの製品を届けることが可能な環境が整いつつあることから、今後もクラウドファンディングの活用が多くなると思っています。



 最後に『Shadowrun Returns』に興味をもたれた方。価格も$19.99と安めです。ただ、もちろん日本語パッチとかはありません。そして、英文は難しい部類にはいるでしょう。

 アドベンチャーパートの多くが対話形式で成り立っています。会話文なのでスラングばりばり。それに対する受け答えもスラング。自分は未訳ゲームをプレイする際は、英文の3割程度の意味を掴めばいいと思っています。前後のシチュエーションと数箇所の単語を押さえれば大体の意味が推測できます。自分で遊ぶ分にはだいたいそれで問題ないのです。ただ、本作ではなかなかそれもままならない。主人公の対応の選択肢もスラングなので、どういうものなのか憶測が入らざるを得ないみたいな感じです。相手に対する台詞にasshole(ケツの穴)って入ってるから、これは罵倒の意味かみたいな。後、専門用語とか英語以外の言語もサイバーパンクだから混じってきます。主人公がベースキャンプにする酒場の女主人がクボタさんですか、この人の英文に「omae」やら「So ka」、「Domo arigato」などの日本語がそれなりに混じってます。これは日本人だから読めるのであって、ドイツ語やらフランス語やらならチンプンカンプンでしょうね。じっさい、そういうケースがあります。

 しかしながら、このゲームはシーンに結構細かく区切られていて、その前に状況解説の文書がでます。それは会話文でないのでそれほど読みにくいものではないです。これを追っていけばおおよその流れは把握できるかなとは思いますよ。


 日本語版がリリースされるのが一番ですが、マニア向け、自作シナリオを共有しあうシステム、かつ翻訳難易度高めなんで、相当難しいかな?

ダーク・サンの都市(その4)

 今回はダーク・サンです。DAC2013でダーク・サンのセッションが2卓たつそうで、盛り上がりに期待したいですね。


 取り上げるのは“砂海の港街”バリクです。最も活発な商業都市であり、莫大な富を有しています。また、他の都市と比べると商家が大きな権力を持っています。さらに市民による共和制がとられているとのこと。


 こう書くとダーク・サンでは珍しい文明的な国家都市のように見えますが、やはりというか、外っ面だけであります。実質的にこの都市を支配しているのは“独裁官”アンドパイニス。市民による選挙によって専任されている態をとっていますが、彼の権力は揺るがないものです。

 街の市政を司り、軍事に強い影響をもつのが法務官。彼らは選挙で選ばれ、10年の任期を務めます。ただ、これらは実質的にアンドパイニスのテンプラーであり、彼の息のかかったものが選ばれるシステムになっていますとか。


 また、アンドパイニスはバリクの愛国心を推奨し、国土を豊かにしようとしています。もちろん、これは己の生贄の効果を高めるためであります。バリクの妖術王は、一番政治家タイプですね。“力”じゃなくて“政治”で統治しようとする感じ。アンドパイニスのデータは25レベルの精鋭制御役(指揮)で、単独じゃないのも他人の力を利用する彼の性質を考慮したものなのでしょうね。



 後、バリクの特色としてローマ色が最も強い点があります。共和制であり、独裁官(Dictator)も法務官(Praetor)もローマ時代の役職名。バリク特有の背景にはLegionary(軍団兵)って、君はバリクの歩兵の軍役を務めていたみたいのもあります。


 もっともダーク・サン全体的にローマ風なテイストがありますね。剣闘士と闘技場はいうにおよばす、ワインハウスやオリーブ畑。タイァにも元老院議員(senator)という貴族の役職があったり。



 ダーク・サンは世紀末的世界観ってのは間違いないのですが、それ以外に結構色々なテイストがごちゃまぜになっています。ローマ風もそうですし、ピラミッドはエジプト風、ジャングルなどはインカ帝国風や東南アジアを連想させるところもあります。砂漠を半裸のマッチョガイが蜥蜴に騎乗、異形の巨人と戦うとなると、『火星シリーズ』などの古典SFの影響も強いでしょうね。

 ディズニーの『ジョン・カーター』って火星もの映画を観ましたが、色々ダーク・サンっちくなシーンがありましたよ。




 一貫しているのは、オーソドックスな西洋中世ファンタジー以外のテイストというところでしょうか。酒場で依頼って感じでなく、逃亡奴隷とか剣闘士の立場でキャンペーンがスタートすることが少なくないダーク・サン。やっぱり、異色で味わい深い世界観だと思います!

DAC、JGC、どどんとふ!

 今回は告知です。

 まず、D&Dイベントから。

 7月20日(土)〜21日(日)の「DAC愛知」です。


http://www55.atwiki.jp/dac_aichi/


 まだ、一部卓で募集中ですよ。今年からイベント会場を変更し、宿泊可能なイベントになっています。連日卓も企画されていますよ。
 本家DACのように宿泊客が深夜までD&D談義を行なうことでしょう!


 続きまして本家DAC。今年は2日間のイベントに戻り、9月21日(土)〜22日(日)の開催になります。


http://dac.sakuraweb.com/


 会場もお馴染みの国立オリンピック記念青少年総合センターですね。


 今年にはアメリカで次の版のD&D Nextが発売予定です。来年のDACはNext卓がそれなりに立つかもですね?



 続きまして『ハーンマスター』関連のお報せです。

 まずは、8月30(金)〜9月2日(日)開催のJGC2013について。サンセットゲームズのブースで『ハーンマスター』とボードゲームの体験卓を行なう予定です。

 だいたい30分程度の『ハーンマスター』のお試しセッションを複数用意していきます。


http://sunsetgames.cocolog-nifty.com/slg/2013/05/jgc2013-6bdc.html


 卓に着て頂いた方に応じて随時、セッションしたり、ボードゲームをするスタイルの予定です。
 割と自由めなイベントですので、気楽に顔を出して頂ければ幸いです。


 最後に『ハーンマスター』の同人誌について。

 友人のたいたい竹流君が夏コミに受かりまして、オンラインセッションツール「どどんとふ」の同人誌を出すことになりました。
 マニュアル以外に今回は「どどんとふ」用シナリオ集も出すことになり、そこに自分も寄稿させて頂きました。

 たいたい竹流君や「どどんとふ」関係者とのリプレイ、そしてショート・シナリオになります。

 『ハーン』ってどんな感じのシステムかをざっくりですがお伝えする内容になっています。


 夏コミだけでなく、おそらく委託販売も行なうかもしれませんので、こちらもよろしくお願いします。