Dark Sunと私

 岡和田さんのブログにも書かれていますが、来年度にD&D4版のワールド設定でDark Sunが出る模様。


http://www.wizards.com/default.asp?x=dnd/drfe/20090814


 これは嬉しい不意打ちですね。Dark SunはAD&D時代のワールド設定で、その特徴は“世紀末ファンタジー”。秘術魔法によって一度文明が滅び、大地が砂漠化した世界アタス。荒廃した大地を群雄割拠するのは、神の如き力を振るう悪のソーサラーキングたち。秘術魔法が禁止され、かつ神々が殺されたこの世界における神秘の力の主流はサイオニクス。金属が希少なこの世界で、英雄たちは革鎧に身を包み、黒曜石や骨を削った武器を手にする。いや〜、好みです。赤銅色の上半身に刺青を所狭しと彫った禿頭のドワーフが、恐竜の腸骨を磨き込んで作った戦斧を構え、「ヒャッハー! 水だぁ!」と襲いかかるモヒカン・バイカーじゃなくて蜥蜴に乗ったノーマッドたちと闘う。やっぱ、いいなぁ。


 Dark Sunには正に世紀末の頃にはまりました。イエローサブマリンで安売りされていたサプリメントなどを買いあさったものです。そういえば、D&Dに初めてマスターしようと思ったワールド設定がこれになります。とにかく、色々尖っていましたね。イラストのドワーフのほとんどが禿げだったり、ハーフリングにはカニバリズムの風習があったり。また、ゲームバランスもパワープレイの方向に尖りまくりで、追加種族のスリクリーンとハーフジャイアントにそれが顕著でした。カマキリ人間のスリクリーンは、生得のチキン質の甲羅によって他の種族より防御面に優れ、何より基本的に爪×4と噛みつきの5回攻撃が可能。さらに、噛みつき攻撃で麻痺毒を分泌可能。そのうえ、脚がやたら速かったり、睡眠が不要だったり。ソーサラーキングが巨人とヒューマンを掛け合わせて誕生させたハーフジャイアントは、強靭な肉体に加え、恐ろしい事にHDは出目が二倍。もう、無茶苦茶です。


 『Black Flames』という未訳シナリオ集のDMをしたところ、PCはヒューマンの“地”のクレリックとハーフリングのレンジャー/“水”のクレリック、スリクリーンのファイター/サイオニスト、ハーフジャイアントのグラディエイターでした。商隊の護衛中にいきなり砂嵐に巻き上げられ、装備品をすべて失った所からスタートとか、敵50体以上とか、実にアメリカンな感じの力技のシナリオでしたが、セッション自体も主にハーフジャイアントとかが力技でぐいぐい解決。ラスボスは相当酷ぇ奴で、いきなりラントニング・ボルトをバリバリ。ハーフリング氏が「自分はセーヴィング・スローに成功しても死亡です」と言う横で、きっちり全ダメージを受けたハーフジャイアント氏が「HP32しか残っていない。こんな身体にしてくれてソーサラーキングありがとう!!」と訳の分からない台詞を吐く始末。そんなこんなで、最後も力技で勝利をもぎ取り、世紀末らしいワイルドなセッションになりましとさ。



 今世紀にD&D3版が出てから、Dark Sunで遊ばなくなったのですが、主な理由は結局AD&Dの関連のルールブックが入手困難だったことです。基本ルールが1冊しかなく、それを回し読みしていたので。それに比べて、3版はコンスタントに入手できましたし。3版や3.5版でDark Sunという手もありましたが、結局それはしませんでした。Dragon誌に記事が載ったり、同人でやられていた方もあったのですが、やはりプレイするのにはルールなどを補足する必要があったからです。


 ですので、4版でDark Sunができるというのは本当に嬉しいですね。4版の派手目なルールはDark Sunにぴったりだと思います。また、ワールド設定を4版用に再構築してくれるのもありがたいです。Dark Sunのワールド設定は、『ドラゴンランス』のように小説とリンクしていました。そして、『ドラゴンランス』の小説がそうだったように、著名な敵役などを小説の主人公たちが倒しているのですね。これは小説としては正解でしょうが、個人的にはワールド設定的にどうかなと思います。4版に関してはそういう流れはないので、PCのための冒険の舞台を用意してくれると信じています。