『Dark Sun』続報

 今回はD&D4版のDark Sunの話です。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のウェブサイトにDark Sun Summerと題して、事前情報がちらほら掲載されるようになってきました。


 コンベンションの出来合いキャラのデータなどを見ていると、新種族としてスリクリーンが、ウォーロックの新しい契約として“ソーサラーキングとの契約”などが追加されている模様。


 後、ダウンロード素材としてDark Sunの世界観の簡易説明シートみたいなものもありました。今回これを訳してみました。例によって、適当なもので、訳語などはもちろん正式なものではありません。



アタスにようこそ:プレイヤー用世界観概略

 『ダーク・サン』のキャンペーン・セッティングの世界設定は色々個性的なんだ。『ダンジョンズ&ドラゴン』のゲームでお馴染みのお約束事の多くは存在しなかったり、一新されていたりする。アタスは、輝く鎧をまとった騎士やローブをはおった魔術師、深い森、神々の世界がある場所ではないんだ。アタスの砂漠で危険を冒して一旗揚げるということは、伝統的なファンタジーや物語とは異なる獰猛で壮観な世界に入っていくことなんだ。深紅の太陽の元で生き抜くことは、たびたびこれ自体が冒険になるんだ。


 初めてアタスに触れる人はこの世界について学ぶことは多いよ。人々やモンスターなどにね。でも、以下の8つのことが『ダーク・サン』のキャンペーン・セッティングで最も重要な特徴なんだ。


ここは砂漠の世界である:アタスは熱く不毛な惑星である。果てしない砂の海、生物の影もない塩類平原、岩だらけの荒野、茨の低木地、そしてそれより酷い環境などである。夜明けの直後から、深紅の太陽がオリーブ色がかった空から照りつける。普通、温度は午前中には38度を超え、午後の遅くには54度以上になることもありえる。風は加熱炉の突風如きで、酷い暑さを何ら緩和しない。塵と砂が、すべての物を黄色がかったオレンジ色の砂が覆っていく。この自然が牙をむく世界で、街や村は数少ないオアシスや緑地の平原のみ存在する。これらの文明の孤島の先は、放浪民や侵略者、腹をすかせたモンスターが徘徊する荒涼とした荒れ地なのである。


この世界は野蛮である:アタスにおける生活は暴力的で短いものである。血に飢えた侵略者、欲深な奴隷狩り、冷酷な野蛮人の群れが、砂漠や荒野にはあふれている。街での生活は少しましである。不死身の暴君の支配によって全員が息も絶え絶えなのだ。恥ずべき奴隷売買の機関がアタス中に幅を利かせており、数多くの不幸な者たちが鎖に繋がれて生活しており、乱暴な監督官なために骨身を削っている。毎年、数百名、ひょっとしたら数千名の奴隷が、見世物として血まみれの闘技場に送られて、その命を散らしている。慈悲や思いやり、親切心などの美徳は健在だが、それらは滅多にない、貴重な美徳なのだ。このような恵みを期待するのは、愚か者だけである。


金属は希少資源である:ほとんどの武具は、骨や石、木材などの材質で作成される。鎖鎧や板金鎧は妖術王(sorcerer-king)たちの宝物庫にしか存在しない。鋼製の剣はほとんど値をつけることができないほど希少な武器であり、多くの英雄たちもその生涯で目にすることはない。


秘術魔法はこの世界を蝕む:太古の戦争において秘術魔法の無謀な仕様が、アタスを荒野へと変えてしまった。秘術呪文を唱えるためには、近くの生命力を集める必要があるのだ。植物は黒い灰へと萎れ、生命力を損なわせる痛みが動物と人々を襲い、土壌は不毛になり、ここでどんな命も育まれなくなる。世界に被害を及ばさないように注意して呪文を唱えることも可能であるが、浸蝕の魔術(defiling)は保全の魔術(preserving)よりも強力なのである。この結果、ソーサラーやウィザード、その他の秘術魔術の使い手は、徐々に非難を集め、その者が浸蝕または保全の魔術の使い手に関わらずアタス中で迫害を受けるようになった。報復の恐れなしで秘術の魔力を扱うのは最も強大な術者だけである。


都市国家を支配するのは妖術王(sorcerer-king)である:絶大な力を持つ恐るべきデファイラー(defiler:浸蝕の魔術の使い手)たちは、都市国家の1つを支配しているだけではない。この強大無比な術者は数百年にわたり玉座に君臨しているのだ。妖術王が支配する以前の世界を知っている者はすでにいない。ある妖術王は己が神であると言い張り、ある者は神々に仕えていると主張する。ある者は暴虐限りない暴君であり、他の者は専制志向が弱い。妖術王たちは、神職や官僚をもって統治を行なう。この欲深で野心家のテンプラー(templar)たちは、妖術王の力を召喚する能力をもった格下のデファイラーである。


神々は呼びかけに応えない:この惑星が緑に覆われていた大昔、プライモーディアルの猛々しい力が神々を打ち破った。こんにち、アタスは神々の存在しない世界である。この地には、クレリックパラディン預言者、宗教組織は存在しない。信仰の力がないために、この世界では別の力が目立つようになった。サイオニックの力がアタス中に知れ渡り、使用されるようになった。知性のない砂漠のモンスターでさえ、致命的なサイオニック能力を持っているのである。シャーマンとドルイドはこの世界のプライモーディアルの力を呼び出し、それらはたびたびエレメンタルの力による特徴を有する。


この世界には獰猛なモンスターが徘徊している:この砂漠の惑星は独自の過酷な生態系を有している。他の過酷ではない世界でよくみられるクリーチャーのほとんどは、死に絶えて久しいか、存在すらしなかった。アタスには畜牛や豚、馬は存在しない。その代わりにerdlu(羽根のない2足歩行の鳥)を飼い、kank(虫)やcrodlu(2足歩行のトカゲ)に乗り、inixe(4足歩行の巨大なトカゲ)とmekillot(4足歩行の巨大なトカゲ)に荷馬車を引かせるのだ。ライオンやベア、ウルフのような野蛮なクリーチャーもほとんど存在しない。それに代わり、id fiendやbaazragがtembo脅威になっているのだ。



お馴染みの種族は君の想像するものとは別物である:一般的なファンタジーの固定概念はアタスの英雄には当てはまらない。多くのD&Dのセッティングにおいて、エルフは賢明で情け深い森の住人であり、邪悪の侵略から故郷を守る者たちである。アタスでは、エルフは、牧畜と行商、略奪と窃盗を行なう遊牧民である。ハーフリングは感じのよい河の民ではない。彼らは排他的な首狩り族の人喰い部族である。自分たちの山の森林に収入した者を狩りだし殺すのだ。ゴライアス(別の名をハーフ・ジャイアント)は凶暴な傭兵として名高い。多くの都市で妖術王や配下のテンプラーたちに、手練の警備兵や用心棒として仕えているのだ。



 う〜ん、神々がソーサラーキングではなくプライモーディアルに倒されたってのは変更点ではありますが、4版になってコンセプトがガラリと変更されたりなくて安心です。