『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ』!

 今回は前回の『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ』(以下『HoFL』)に引き続き、今月発売された『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ』(以下『HoFK』)の話です。今回も付録つきでウォーロックとウォーロードの最新版データとコンバートルールが掲載されています!


ダンジョンズ&ドラゴンズ エッセンシャルズ ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ 忘れられた王国の勇者 (ダンジョンズ&ドラゴンズエッセンシャルズ)

ダンジョンズ&ドラゴンズ エッセンシャルズ ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ 忘れられた王国の勇者 (ダンジョンズ&ドラゴンズエッセンシャルズ)


 本書はエッセンシャル版『PHB』の扱いで、前回の『HoFL』の別バージョンという形です。つまり追加データ集ではなくて、基本的なルールも記載されています。同じ卓の友達が『HoFL』を購入していたら、自分はこっちを買ってルールブックとして使用。データを見せあいっこして利用するとかもできますね。

 『HoFL』は種族もクラスも、エルフにドワーフ、ナイトにシーフとストレートな路線でした。これに対して『HoFK』は変化球的なものが多くなっています。

 種族はヒューマン以外に、ティーフリングとドラウ、ドラゴンボーン、ハーフエルフ、ハーフオークです。悪魔人間やダーク・エルフ、竜人間などの癖のあるタイプで揃えているわけです。


 クラスも癖のあるものが多く、本書には5種類掲載されています。

 まず防衛役としてキャヴァリアー。これはパラディンのバリアントで、エッセンシャル版パラディンという感じです。ナイトと同じくディフェンダー・オーラで防衛役の仕事をしますが、ナイトのように基礎攻撃メインでは戦わず、クラス特有の無限回パワーを持っています。後、「自己犠牲の徳」と「勇気の徳」の2コースがあって、これによって能力や習得可能なパワーが決まったりします。前者が治癒寄り、後者が攻撃寄りですね。指揮役が少ない場合には、「自己犠牲の徳」のキャヴァリアーの治癒能力はありがたいと思いますよ。


 指揮役はセンティネル。これはドルイドのバリアントです。随分ユニークな指揮役で熊か狼を連れています。これは動物の相棒で、シャーマンの精霊の相棒というよりは野獣レンジャーのものに近いです。アクションを共用しながら2体を動かすという感じ。ウォープリーストのようなシンプルな強さというわけではなさそうですが、運用次第で色々化けそうですね。


 制御役はハンター。レンジャーのバリアントで武勇兼原始のクラスです。弓レンジャーにシーカー要素を足した感じでしょうか? 弓の基礎攻撃に色々な効果を付加させる感じです。面の制御面はメイジに劣りますが、単体の制御面およびダメージはこちらが勝っているでしょう。


 撃破役はスカウトとヘクスブレードの2クラスが用意されています。

 スカウトは2刀レンジャーのバリアントで、「どんだけ〜〜」という感じ。シーフと同じく【敏捷力】による近接基礎攻撃がメインであり、スレイヤーの様に構えで様々な効果を得ることができます。そしてダメージの底上げ手段としてデュアル・ウェポン・アタックという無限回パワーがあり、これが強力です。これは、近接基礎攻撃がヒットしたら、1ラウンドに1回の制限があるもののもう一方の武器で攻撃できるというものです。従来この手のパワーは遭遇毎だったり、ダメージに能力値ボーナスが加わらなかったりしますが、そういうことはありません。突撃攻撃をヒットさせたら相手を転倒させる構えがあり、これと《断頭の一撃》とアクション・ポイントを併用させてヒットすれば相当えぐいですね。1レベルでも自前で45点程度、どんだけ〜〜〜!

 ヘクスブレードも別の意味で「どんだけ〜〜」なクラスです。こちらはウォーロックのバリアント。ヘクスブレードのHexはまじないや呪術の意味、Bladeは刃で、「妖剣使い」や「呪いの刃の戦士」という感じ。内容は遠近両用の撃破役。ウォーロックと同じく怪光線をビビビと撃ちまくるのは同じですが、名前の通り剣士でもあります。契約の内容に沿った剣を召喚してそれで攻撃するのですね。契約は「フェイの契約」と「地獄の契約」に2つが用意されています。「フェイの契約」ですがフェイ・ワイルドの妖精との契約になるわけですが、友好的なフェイとではないです。人類に無関心、または程度の差あれ敵意を持っている謎めいた冬のフェイとの契約になります。「地獄の契約」は言わずもがなな人類に対する悪意の塊であるデヴィルとの契約になります。要は邪悪な力を使うダーク・ヒーロー。力に酔いしれ高笑いしながら敵を圧倒してもよし、邪悪な力を恥じる故に正義を貫こうとしてもよし。まあ、あれですね。目に殺気を宿した敵に接近を許してしまったらおもむろに利き腕を押さえて「クッ!」ってやるわけです。「ま、またあの力を……いや、俺は、俺は呪われた道とて栄光に続くと信じている!」とかいって手を天にかざすのです。「九層地獄に渦巻く怨嗟の念、亡者を苛む業火よ。我の求めに応じ、敵を屠る刃となれ! 来たれ呪炎剣“真愚魔(マグマ)”ァァ!」とかやるのが、デフォルトなんすよ、たぶん恐らくもしくは。どんだけ〜〜〜!


 で、D&D4版の今後の展開ですが、次に『モルデンカイネンの魔法大百貨(仮)』が予定されています。これはエッセンシャル・クラスにも対応した新しい『冒険者の宝物庫』、魔法のアイテム本になります。『HoFL』にも『HoFK』にも魔法のアイテムは掲載されていますが、流石に数は少ないです。これらの1冊の次にプレイヤーにお勧めなのが、この『モルデンカイネンの魔法大百貨(仮)』です。魔法のアイテム以外にも新しい武器や鎧が追加されていますよ。小型種族好きな自分にとっては「小型」特性の武器が増えたのがグッド! 夏発売予定ということですが、できるだけ早く欲しいですね。