『ダンジョン・デルヴ』発売

 今回は翻訳のお手伝いをさせていただいたD&D4版の『ダンジョン・デルヴ』の紹介です。今週末発売になります。


ダンジョン・デルヴ (ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版サプリメント)

ダンジョン・デルヴ (ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版サプリメント)


 ホビージャパンのウェブサイトにもプレビューが載っています。

http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/news/delve/index.html


 デルヴというものは“ダンジョンにひと潜り”という感じのニュアンスです。本書は1レベルから30レベルまでレベル毎に3つの遭遇が入った合計90の戦闘遭遇集になります。レベル毎の3つの遭遇はこれらがワンセットでダンジョンハックのミニシナリオになっています。また、これらを拡大するアイデアも記載されています。


 例えば、5レベル用は『デルヴ5:ティーフリング女帝の墳墓』であり『5-1:闇黒の死』と『5-2:危険な回廊』、『5-3:ネメイアの控えの間』の3つの遭遇から構成されています。そして、5-3の遭遇からさらに奥に進むなどの拡張案が提示されています。


 シナリオとして使用する他に、既存のセッションに付け足すということも簡単にできます。4レベルのキャラクター向けにシナリオを考えたけど、導入と最後の遭遇しかまとまらなかった。そうしたら、3〜5レベルの遭遇から数遭遇をピックアップして当てはめることで簡単にシナリオを形にすることも可能です。モンスターがシナリオ傾向に合わなければアレンジすることも比較的簡単ですよ。


 その他に1遭遇をダンジョンハック・ボードゲーム的に遊ぶということも可能です。セッションが早く終わって2時間ばかり時間ができた時とかに、ぱっとプレイすることも可能です。


 後、ダンジョンのマップをどうするかはD&Dセッションで準備に手間のかかる部分の1つですが、本作ではマップすべてダンジョン・タイルで簡単に再現できるものになっています。ただ、もうすでに絶版で入手が難しいタイルとかもあります。しかし、現在Dungeon Tiles Master Setが3種類発売されており、紀伊国屋書店Book Webなどで比較的安価に入手可能です。このセットを使用すれば、このデルヴのマップはかなり再現できるかと思います(テーブルが描かれたタイルが足らなくて別の絵柄のタイルで代用などはあるかもしれませんが)。このセットもその内入手が困難になるかもしれませんので、興味のある方は買われた方が良いかも知れません。D&Dだけじゃなくてマス目戦闘を行なうシステムにも使えますしね。


 ただ、このサプリメントの原書は2009年2月に発売されています。『武勇の書』と『プレイヤーズ・ハンドブック2』の間の作品であり、比較的古い作品です。モンスターのデータは基本的に『モンスター・マニュアル』のものと、それをカスタムしたものになります。『モンスター・マニュアルⅡ』以降のものなどは載っていません。最新のモンスターを使用されたい方は、モンスターの入れ替えなどカスタムしないといけません。


 後、罠の難易度などはアップデートで変化していっています。『ダンジョン・デルヴ』ではそれらの難易度は原書とおりとしております。最新の適性難易度でプレイされたいDMは調整する必要があります。


 本書はDMお試しツールに最適とあり、自分もそう思います。長いシナリオにチャレンジするよりも1つの遭遇から始めたほうが気楽でよいと思うのですね。また、3遭遇というのは1日でプレイするには丁度よい量です。この3遭遇でもちゃんとセッションの形になっていますので、ただ戦闘だけをしたってだけでなく、ラスボスを倒して問題を解決したという達成感を得ることができる形になっています。

 D&Dの基本スタートキットとして『プレイヤーズ・ハンドブック』と本書があれば、少なくとも1レベルから30レベルまでのセッションをプレイすることができます。まずはデルヴ1をやってみる。そして次はPCたちを2レベルにレベルアップしてデルヴ2をやってみる。実際にには3遭遇だけではレベルが上がらないのですが、こういう遊び方で面子が納得すれば問題ないですよ(ただ、3遭遇だけではレベルに装備が追いつきません。各PCに少なくとも3つの魔法のアイテムを渡して下さい)。PCたちが1つのレベル帯をじっくりやりたいというのなら、市販やダウンロードのシナリオをプレイしたり、『モンスター・マニュアル』を購入してデルヴを拡張したり、シナリオを自作してもよいですね。


 本書はもちろんベテランDMにもお勧めです。なんといっても90遭遇入っています。シナリオを煮詰める時間がなかった時に、遭遇を簡単に作成できる頼もしいツールとして役立ってくれると思いますよ。