『Heroes of the Feywild』の紹介

 今回はD&D4版のサプリメントHeroes of the Feywild』の紹介です。これは、『Heroes of Shadow』に続くPlyaer’s Optionシリーズになります。『Heroes of Shadow』はシャドウフェルに関連深い種族や新しいクラス・オプション(エッセンシャル・クラス)、特技などのサプリメントでした。『Heroes of the Feywild』はこれのフェイワイルド版になるわけです。


Player's Option: Heroes of the Feywild: A 4th edition Dungeons & Dragons Supplement (4th Edition D&D)

Player's Option: Heroes of the Feywild: A 4th edition Dungeons & Dragons Supplement (4th Edition D&D)


 4版の次元界の中では個人的にフェイワイルドが一番お気に入りですね。「満月の峠を越えると眼下には今までとはどこか違う景色が広がっていた。遠くから何か巨大な獣の遠吠えが……」とかイメージを膨らませやすいです。



 では、内容をば。今回はデータ面について、新種族と新クラスの(偏った)紹介になります。まずは新種族。本作では3種類の種族が追加されています。


 まずは、ハマドライアド(Hamadryad)。樫の木の妖精で女性のみ存在します。能力値修正は【判断力】が固定で、もう一つが【知力】または【魅力】になります。“幻惑状態”および“支配状態”、“朦朧状態”に対するセーヴィング・スローに種族ボーナスを得ることができます。これはどのクラスであっても有用ですね。遭遇毎種族パワーは、美しさによって敵から戦術的優位を得るものと、木のように硬くなるものがあり、使用の際にこのどちらかを選ぶことができます。エッセンシャル・シリーズから追加された新種族は種族特有の汎用パワーを持っていて、クラスのものの代わりに修得することが可能です。ハマドライアドは木に関連したものがそろっています。


 次はサテュロス。モンスターとして登場していたものがPC用種族になりました。サテュロスは男性のみで、能力値修正は【魅力】が固定で、もう一つが【耐久力】または【敏捷力】になります。遭遇毎種族パワーは、攻撃をヒットさせた際に目標を横滑りさせて戦術的に優位を得るもの。これも強いですね。種族特有の汎用パワーは、2レベルで驚異的な跳躍力を得る無限回パワーを得るものなどです。



 最後はピクシー。個人的に一押し。ノーム以外にフェイワイルドでは小人成分が薄かったし嬉しいです。また、綺麗なフェアリー系だけでなく、イラストのようにうざかわいい系もいるのが個人的にツボ。ピクシーはデータ的にはかなり特殊なものになります。まず、サイズが超小型。ただし、間合いは1あり、装備できるアイテムは小型種族に準じるとあります。移動速度は4マスですが、飛行移動速度6を得ます。ただしこれは高度が1マスまでで、通常荷重以下でなければ飛べません。能力値修正は【魅力】が固定で、もう一つが【知力】または【敏捷力】になります。種族パワーは、味方1人を飛行させるものと、アイテムを自分サイズに縮めるものをもっています。小さいことと飛行できることについて想像以上にデメリットもメリットもないようですが、工夫次第で色々できそうですね。特に超小型サイズなので味方の占めるマスに移動できるなども楽しいところです。



 続いてクラス・オプション。『赤箱』で追加された撃破役ファイターのスレイヤーのように、旧来のクラスのエッセンシャル・バージョンが追加されています。


 まずはバードの新オプションのスカルド(Skald)。これはなかなか楽しいものですね。旧来のバードと同じく指揮役になりますが、能力がかなり異なっています。スカルドは近接基礎攻撃を【筋力】の代わりに【魅力】で行なうことができ、1レベルの攻撃無限回パワーはマイナー・アクションで基礎攻撃に付随効果をつけるものになっています。スレイヤーの[構え]パワーみたいな感じですね。更にスカルドを特徴づけているのが回復パワーです。スカルドはオーラ5を持っていて、その中で自分または味方がマイナー・アクションを使用することで回復力を使用した回復を行なうことができます。他のクラスの遭遇毎クラス回復パワーと同じく、一遭遇に2回までで、1ターンに一回しか使用できませんが、味方のアクションでも使用できるということが大きいですね。更にマイナー・アクションで隣接している味方を回復させるという使い方もできます。これは味方も行なえますのでかなり便利かもしれません。マイナー・アクションが余るクラスが片手間に治癒させるとか、攻撃の要になる撃破役が気絶してしまった場合直ちに復活せるなどが可能になるわけですね。ただ、オーラの範囲が5しかなく、伝説級になってもこれは伸びないのでスカルドは中衛辺りに陣取る必要があるかもしれませんね。


 次はドルイドのオプションのプロテクターになります。これは制御役になります。来年出る『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダム』には、指揮役ドルイドのセンチネルが追加されます。今回は制御役に戻った形になります。ただし、ワイルド・シェイプのパワーはなくて、一日毎パワーとして獣を召喚するタイプになります。


 次はウィザードのオプションのウィッチ。制御役になります。これは、ウィザードの派生というよりは、『赤箱』で追加されたメイジの追加オプションですね。ただ、ウィザード系の個性はパワーに依存する所が多いので、ウィッチならではの特徴はそれほど多くはないです。《秘術の使い魔》をボーナスで得て、所属する魔女の集まり(Moon Coven)の種類によって1レベル遭遇攻撃パワー固定されるとかですね。


 最後は自分の一押しのバーサーカー。バーバリアンのオプションであり、防衛役および撃破役になります。撃破役よりの防衛役などではなくて、普段は防衛役でありバーサーカーの激怒(Berserker Fury)を発動させた時は撃破役に変身するという特殊なクラスになります。

 バーサーカーの前にまずはエッセンシャルでの防衛役について説明をば。従来の防衛役クラスと異なりエッセンシャルの防衛役はマーク能力を持っていません。代わりにデフェンダー・オーラという汎用パワーを持っています。このパワーで範囲1のオーラを起動します。このオーラの範囲、つまり自分の隣接マスでは敵はマークされたかのように自分以外の味方を攻撃する際に−2のペナルティを受けます(ただし、その敵をマークしている味方、およびデフェンダー・オーラを起動している味方は除く)。そして、自分以外の味方が攻撃された場合に、即応・対応アクションではなく機会アクションを行なえます。どのような機会アクションを行なえるかはクラスによって異なります。『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ』で追加されるファイターのオプションのナイトはスレイヤーのように基礎攻撃で戦うクラスです。ナイト特有の機会アクションは、近接基礎攻撃を行ない、ミスしても【筋力】ボーナスに等しいダメージを与えると言う強力なものです。『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダム』で追加されるパラディンのオプションのキャヴァリアーの機会アクションは、自動的に光輝ダメージを与えるものです。これは敵がシフトした際にもトリガーする点が優秀です。

 で、バーサーカーの説明。ヘビィ・シールドとプレート・アーマーを装備可能なナイトとキャヴァリアーに比べ、バーサーカーはライト・シールドとハイド・アーマーまでしか装備できません。しかし、防御能力が他の防衛役に劣るかというとそうではなく、デフェンダー・オーラを起動しており、かつ重装鎧を装備していない場合、ACに+2のボーナスを得ます。極端な作り方をすれば1レベルでAC23にすることも可能ですね。そして、バーサーカー特有の機会アクションは敵がシフトした際にもトリガーし、近接基礎攻撃を行なうものです。そして+1d8の追加ダメージを与えます。どうも片手間の防衛役ではなく、ナイトやキャヴァリアーに匹敵する能力を持っているようですね。

 そして、特定の条件でバーサーカーの激怒を発動させた場合は、デフェンダー・オーラを発動させることができなくなり、防衛役として役目を果たせなくなります。その代わりに攻撃力がおよそ+1d8アップし、撃破役として運用することになります。前半は二枚目の盾として運用し、後半は攻撃力アップなどフレキシブな対応が可能なわけです。



 本サプリで面白い選択肢が増えたと思います。データを見るだけで楽しく、使うあてはないものの勢いで1レベルキャラを作ってみました。


名前:“鬼齧りリス”エイーコン 性別:男
クラス:バーサーカー 属性:善
【筋】18、【耐】13、【敏】15、【知】08、【判】10、【魅】12
HP:28、重傷値:14、回復力使用回数:9、イニシアチブ+2
AC17(19)、頑健16、反応14、意志11
技能:〈軽業〉+7、〈運動〉+9、〈自然〉+7
特技:《軽装ゆえの機敏》
装備:ロングソード、標準冒険者キット
クラス特徴:Hertland:Arid Desert、Poised Defender、Berserker Fury
種族汎用パワー:Pixie Dust、Shrink
クラスパワー:Defender Aura、Vengeful Gurdian
1レベル無限回パワー:Stalk and Strike、ハウリング・ストライク
1レベル遭遇パワー:Batter Down
1レベル一日毎パワー:メイステイルズ・レイジ
設定:ドングリをほおばったリスのような丸顔のピクシー。だが、気性は荒く、二つ名は素手でゴブリンを倒した事に由来する。仲間の頭に乗るのが好きで、腰蓑とブーツ以外の衣服を着ないのが彼のジャスティス。


 基本的に仲間との同じマスに位置取る防衛役です。ピクシーはバーサーカーと相性がわるいというと案外そうでもないかもしれません。味方と同じマスに居る場合、敵の近接攻撃または遠隔攻撃から部分的な遮蔽を得るピクシー専用特技などもあります。これにより更にうざ可愛い奴になれますねw



 というわけで、大分偏っていますが『Heroes of Shadow』の紹介です。『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダム』の後に何が発刊されるかは自分も知らないのですが、Plyaer’s Optionシリーズになる可能性はかなり高いと思っています。どうなるか来年が楽しみです。